携帯の電池はなぜ爆発するのか。
携帯電話のバッテリー爆発による事故がちらほら起こっている昨今です。
携帯電話やパソコンには、リチウム電池という種類の電池が使われています。実はこのリチウム電池、三洋、ソニー、松下の日本勢が世界シェアの7割を占めるという、日本の独壇場。動向が気になります。
そもそのこのリチウム電池、なぜ登場したかというと、電子デバイスの小型化、高パフォーマンス化にともなって、「小さく、しかもパワーがあって長持ちする電池」への需要が高まったから。よくよく考えると、あんな小さな電池パックで、携帯が何十時間も持つなんてありえないような気もします。
それを実現したのが、高電圧、高エネルギー密度のリチウム。しかし、まさにその性質のせいで、リチウムは爆発・発火しやすくもあります。諸刃の刃なのです。
例えば、長持ちするけど、洗って落とすのも簡単な口紅。
例えば、生で食べられるのに、えらく日持ちするレタス。
そういうのと同じで、一見できそうに見えるけど、完全に逆の性質を一つのものに求めてしまっているために、あっちが出ればこっちばひっこむ、ということになってしまって、実は両方を満足できるレベルでゲットするのはとても難しい。
そういったわけでリチウム電池開発競争は難航。各社試行錯誤を重ねて、1990年ごろから本格的に市場に出回るようになったわけですが、安全性への問題は、根本的なもののため完全解決することはもちろんできません。
電池の不具合、もちろん基本的にはメーカーの責任です。爆発で人身に被害が及ぶとはとんでもないことです。
でも、ちょっと引いてみて大きな視点で考えると、「完全に逆の性質を一つのものに求めている」ことにそもそもムリがあるのがわかります。リチウムにはぎゅっとエネルギーがつまっているから、爆発しやすい。それなのに、電池を小さく小さくして、エネルギーだけつめつめにつめて、でも爆発はしない電池を作れ、というのは、「1週間絶対落ちない口紅を作れ、しかも水で洗うだけですぐ取れるやつ。」・・・と要求しているのと同じこと。ちょっと考えれば、かなり無理ですよね。
でも我々消費者は、「まだ重すぎる。もと小さくしろ。もっといいのを出せ。しかも絶対安全に。」と要求し続けるわけです。
・・・・どこかで限界がきても、おかしくない気がします。
どんなに優秀なスポーツ選手だって、肉体の限界を超えて結果を出そうとすれば、怪我したり、薬物に頼ったり、という結末を招いてしまいます。
テクノロジーの限界が、見え始めたのじゃないでしょうか。小さく小さく、もっと軽く、もっと早く、もっと便利に高性能に・・・という要求は、無限にはできません。そもそも地球がキャパシティとして持っているものを越えてしまったら、どこかにムリやガタがきます。環境問題は、そのムリやガタのこととも言えます。携帯の電池が爆発し始めたのは、テクノロジーが限界を超えてきたアラームなのかもしれません。
同じ臭いを、ナノテクノロジーにも感じます。ナノテクは、今環境評価が世界的に始まったところです。まだ未知の部分が多すぎますが。
人智の限界、テクノロジーの限界、を、考え始める時期なのかもしれません。
携帯電話やパソコンには、リチウム電池という種類の電池が使われています。実はこのリチウム電池、三洋、ソニー、松下の日本勢が世界シェアの7割を占めるという、日本の独壇場。動向が気になります。
そもそのこのリチウム電池、なぜ登場したかというと、電子デバイスの小型化、高パフォーマンス化にともなって、「小さく、しかもパワーがあって長持ちする電池」への需要が高まったから。よくよく考えると、あんな小さな電池パックで、携帯が何十時間も持つなんてありえないような気もします。
それを実現したのが、高電圧、高エネルギー密度のリチウム。しかし、まさにその性質のせいで、リチウムは爆発・発火しやすくもあります。諸刃の刃なのです。
例えば、長持ちするけど、洗って落とすのも簡単な口紅。
例えば、生で食べられるのに、えらく日持ちするレタス。
そういうのと同じで、一見できそうに見えるけど、完全に逆の性質を一つのものに求めてしまっているために、あっちが出ればこっちばひっこむ、ということになってしまって、実は両方を満足できるレベルでゲットするのはとても難しい。
そういったわけでリチウム電池開発競争は難航。各社試行錯誤を重ねて、1990年ごろから本格的に市場に出回るようになったわけですが、安全性への問題は、根本的なもののため完全解決することはもちろんできません。
電池の不具合、もちろん基本的にはメーカーの責任です。爆発で人身に被害が及ぶとはとんでもないことです。
リチウムの結晶。
でも、ちょっと引いてみて大きな視点で考えると、「完全に逆の性質を一つのものに求めている」ことにそもそもムリがあるのがわかります。リチウムにはぎゅっとエネルギーがつまっているから、爆発しやすい。それなのに、電池を小さく小さくして、エネルギーだけつめつめにつめて、でも爆発はしない電池を作れ、というのは、「1週間絶対落ちない口紅を作れ、しかも水で洗うだけですぐ取れるやつ。」・・・と要求しているのと同じこと。ちょっと考えれば、かなり無理ですよね。
でも我々消費者は、「まだ重すぎる。もと小さくしろ。もっといいのを出せ。しかも絶対安全に。」と要求し続けるわけです。
・・・・どこかで限界がきても、おかしくない気がします。
どんなに優秀なスポーツ選手だって、肉体の限界を超えて結果を出そうとすれば、怪我したり、薬物に頼ったり、という結末を招いてしまいます。
テクノロジーの限界が、見え始めたのじゃないでしょうか。小さく小さく、もっと軽く、もっと早く、もっと便利に高性能に・・・という要求は、無限にはできません。そもそも地球がキャパシティとして持っているものを越えてしまったら、どこかにムリやガタがきます。環境問題は、そのムリやガタのこととも言えます。携帯の電池が爆発し始めたのは、テクノロジーが限界を超えてきたアラームなのかもしれません。
同じ臭いを、ナノテクノロジーにも感じます。ナノテクは、今環境評価が世界的に始まったところです。まだ未知の部分が多すぎますが。
人智の限界、テクノロジーの限界、を、考え始める時期なのかもしれません。
by kinky25
| 2007-09-01 09:09
| カンキョウの話。
筆者: 環境庁勤務・一児の母。 生息地: カリフォルニア・サクラメント。 ブログについて: サイエンスとトレンドを融合した、わかりやすいエコ・温暖化・サステナビリティ。コメント歓迎です(除く営業)
by kinky25
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