パタゴニアの挑戦は続く。 - Footprint Chronicles -
Patagonia(パタゴニア)といえば、環境マネジメントの授業でもよく取り上げられる、世界でも1,2位を争うGreenな会社です。LAとサンタバーバラの間にあるVenturaという町に本社があります。
そのパタゴニアが今取り組んでいるのが、Footprint Chroniclesというプロジェクト。まだベータ版ですが、興味ある方はぜひ(英語です)。
これは、一つ一つの製品に対して、デザインがどこでおこされて、原料がどこでとれて、どこに運ばれて、どこで縫製されて・・・という流れを記録して、製品全体の環境負荷(総移動距離数、それにかかるCO2排出量、過程で出るゴミの量、エネルギーの消費量)を把握しようという、壮大な試みです。簡易型LCAの一つの形ともいえるでしょう。一つ一つの製品に対して、ですよ。すごいです。
*********例えば、Synchilla Vestという製品。
総移動距離・約8000キロ。
CO2排出量・13キロ。
ゴミ・105グラム。
エネルギー・58MJ。
いい点: 100%リサイクルされた原料を使用。さらに、リサイクルの原料を北米で集め、メキシコで生産し、またアメリカの配送センターに戻すことで、地理的にコンパクトなサプライチェーンを実現。さらに、使用済み製品もリサイクルできる。
悪い点: トラックでの輸送は、CO2の排出量が他に比べて多い。そのため、サプライチェーンを北米圏内でコンパクトにおさめたのはいいのだが、すべての輸送にトラックを使うことになってしまった。結果、サプライチェーンに海外が含まれていて船便を使っている製品よりも、実はCO2排出量が高くなってしまう場合がある。
パタゴニアの考え: サプライチェーンを小さい地域に納めることはいいことなのだが、環境の観点からは必ずしもそうはいえない。
あなたはどう思いますか?: フィードバックをお待ちしています!****************
となっています。
・・・・・・すごい。いろいろすごい点がありますが、まず、遠い昔にアパレルのダメダメ営業マンだった私にしてみれば、アパレルでこんな壮大なことをやろうという勇気がすごい。思わず「これをやるにはどれぐらい利益率が必要なんだろう・・・」とつぶやいてしまいました。
服はファッションです。流行です。流行は気まぐれです。消費者は本当に気まぐれです。昨日売れたシャツを、来週大量投入しても、もう売れないかもしれない。それぐらい厳しい世界です。「旬」を一日でも逃したらおしまいという点では、生鮮食料品に近いかもしれません。旬を読み違えた製品は、無情にも在庫として残ってしまうので、あとは値段を下げてバーゲンで売るか、アウトレットのようなところに段ボールいくらで売るしかありません。シーズン通して「旬」を保ち続けられるのは、ほんとに今が「旬」な、一握りのブランドだけでしょう。---バーゲンやらないブランドなんて、数えれるでしょう?後は多かれ少なかれ、旬を逃した製品を値下げしながら、利益を削りながら商売をやっています。
なので、流行を追うブランドで、Footprint Chroniclesをやるのは無理じゃないかと思います。大体企画書が通らないでしょう。その製品がほんとに売れて、利益を出せるかもわからないのに、さらにお金をかけてその製品のCO2排出量を計算するなんて。
パタゴニアは、アパレルではあるけれど、薄利多売で流行を追及するビジネスモデルではない。彼らが売っているのは、流行ではなく、質であり、こだわりであり、会社としてのポリシーです。それに賛同する顧客たちがプレミアを払うので利益率を保てるのでしょう。そのプレミアの一部で、会社のこだわりである環境への取り組みを拡大していっている。そうでなければ、パタゴニアとて営利企業ですので、立ち行かなくなるはずです。
パタゴニア、勇気があります、本当に。きっと顧客と大きな信頼関係で結ばれているのでしょう。明日売れるという自信がなければ、できない企画です。パタゴニアの服は、1シーズンで捨てられたりせずに、大事に着られるでのでしょうね。作るほうにも売るほうにも買うほうにも、思い入れがたくさんあるのでしょう。
サステイナブルって、何も難しいことじゃないと思います。結局「モノを大事にする」、ということにつきる。こだわりを持って大事に作って、ちゃんと利益を確保できる製品じゃなければ、その生産から消費までを追いかけて、CO2の排出量を・・・なんて無理でしょう。80円でつくって99円で売るような製品には、そこまで手をかけている時間もお金もないでしょう。Wal-Martにある製品全部にそれをやうと思ったら、何百年もかかるんじゃないかな。
このFootprint Chronicles、上でも書いたとおり、みなさんからのフィードバックを鋭意受付中!とのことなので、ぜひご参加ください。
そのパタゴニアが今取り組んでいるのが、Footprint Chroniclesというプロジェクト。まだベータ版ですが、興味ある方はぜひ(英語です)。
*********例えば、Synchilla Vestという製品。
総移動距離・約8000キロ。
CO2排出量・13キロ。
ゴミ・105グラム。
エネルギー・58MJ。
いい点: 100%リサイクルされた原料を使用。さらに、リサイクルの原料を北米で集め、メキシコで生産し、またアメリカの配送センターに戻すことで、地理的にコンパクトなサプライチェーンを実現。さらに、使用済み製品もリサイクルできる。
悪い点: トラックでの輸送は、CO2の排出量が他に比べて多い。そのため、サプライチェーンを北米圏内でコンパクトにおさめたのはいいのだが、すべての輸送にトラックを使うことになってしまった。結果、サプライチェーンに海外が含まれていて船便を使っている製品よりも、実はCO2排出量が高くなってしまう場合がある。
パタゴニアの考え: サプライチェーンを小さい地域に納めることはいいことなのだが、環境の観点からは必ずしもそうはいえない。
あなたはどう思いますか?: フィードバックをお待ちしています!****************
となっています。
・・・・・・すごい。いろいろすごい点がありますが、まず、遠い昔にアパレルのダメダメ営業マンだった私にしてみれば、アパレルでこんな壮大なことをやろうという勇気がすごい。思わず「これをやるにはどれぐらい利益率が必要なんだろう・・・」とつぶやいてしまいました。
服はファッションです。流行です。流行は気まぐれです。消費者は本当に気まぐれです。昨日売れたシャツを、来週大量投入しても、もう売れないかもしれない。それぐらい厳しい世界です。「旬」を一日でも逃したらおしまいという点では、生鮮食料品に近いかもしれません。旬を読み違えた製品は、無情にも在庫として残ってしまうので、あとは値段を下げてバーゲンで売るか、アウトレットのようなところに段ボールいくらで売るしかありません。シーズン通して「旬」を保ち続けられるのは、ほんとに今が「旬」な、一握りのブランドだけでしょう。---バーゲンやらないブランドなんて、数えれるでしょう?後は多かれ少なかれ、旬を逃した製品を値下げしながら、利益を削りながら商売をやっています。
なので、流行を追うブランドで、Footprint Chroniclesをやるのは無理じゃないかと思います。大体企画書が通らないでしょう。その製品がほんとに売れて、利益を出せるかもわからないのに、さらにお金をかけてその製品のCO2排出量を計算するなんて。
パタゴニアは、アパレルではあるけれど、薄利多売で流行を追及するビジネスモデルではない。彼らが売っているのは、流行ではなく、質であり、こだわりであり、会社としてのポリシーです。それに賛同する顧客たちがプレミアを払うので利益率を保てるのでしょう。そのプレミアの一部で、会社のこだわりである環境への取り組みを拡大していっている。そうでなければ、パタゴニアとて営利企業ですので、立ち行かなくなるはずです。
パタゴニア、勇気があります、本当に。きっと顧客と大きな信頼関係で結ばれているのでしょう。明日売れるという自信がなければ、できない企画です。パタゴニアの服は、1シーズンで捨てられたりせずに、大事に着られるでのでしょうね。作るほうにも売るほうにも買うほうにも、思い入れがたくさんあるのでしょう。
サステイナブルって、何も難しいことじゃないと思います。結局「モノを大事にする」、ということにつきる。こだわりを持って大事に作って、ちゃんと利益を確保できる製品じゃなければ、その生産から消費までを追いかけて、CO2の排出量を・・・なんて無理でしょう。80円でつくって99円で売るような製品には、そこまで手をかけている時間もお金もないでしょう。Wal-Martにある製品全部にそれをやうと思ったら、何百年もかかるんじゃないかな。
このFootprint Chronicles、上でも書いたとおり、みなさんからのフィードバックを鋭意受付中!とのことなので、ぜひご参加ください。
by kinky25
| 2007-09-30 14:02
| カンキョウの話。
筆者: 環境庁勤務・一児の母。 生息地: カリフォルニア・サクラメント。 ブログについて: サイエンスとトレンドを融合した、わかりやすいエコ・温暖化・サステナビリティ。コメント歓迎です(除く営業)
by kinky25
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