なぜ南カリフォルニアに山火事は起こるのか? -fire ecology Part 1-
ニュースはまだまだ南カリフォルニアのWildfireで持ちきりです。だいぶ鎮火の方向に向いてきたとはいえ、まだまだ猛威をふるっているところもあるということで心配は続きます。多くの方が家を失い、まだ避難されているのですが、南カリフォルニアのWildfire(山火事)についてもっと知っていただきたいので、fire ecologyのことを少し書きます。多分長くなるので3回ぐらいにわけて。
今回の火事は放火も含まれるということですが、人間が火種を提供しなくても、西海岸の森では定期的に山火事が起こります。元来乾燥した場所ですから。場所、高度、気温、降雨量、木の種類などいろいろな要因が組み合わさって決まるfire interval(大規模な火事が起こる間隔)は、西海岸の生態系では数十年であることが多いようです。
西海岸の森々は、「数十年に一回、全てを焼き尽くすぐらいの大きな火事がある」ことを、何百万年分の経験から学び、システムにインプットしています。そして、気の遠くなるような年月をかけて、「どうしたらその火事から効率よく立ち直れるか」を試行錯誤の中で探してきました。それが現在の(人間が手を入れる前の)森や林の姿です。こういう火事のことをnatural disturbanceとい言い、生態系がそのdisturbanceからどれだけ効率よく立ち直れるか、という強さをresilienceと言います。
何百万年に及ぶ地球システムのQAは、山火事からプラス要因を引き出す技さえもあみだしました。実は、森や林にとっての山火事は、全部が焼き尽くされてゼロになる「ネガティブ要因」だけではないのです。森や林は、山火事から恩恵を受けているのです。全てが灰になるのに、メリットなんてあるの???と思われるかもしれませんが、これがあるのです。
例えば、空気中の窒素やリンが、火事によって土壌に取り込まれ、養分になる。地面に降り積もった灰で、地表の温度が上がる。木の病気や害虫が駆除される。ある意味年末の大掃除のようです。これらのおかげで、火事のあとの「再生」は、健康的かつ効率的に進みます。
また、生態系にいろいろな種類や状態があるように、山火事にもいろいろな種類があります。地面近くを這うように燃えるものもあれば、高い木々の枝を縫って燃えるものもある。当然、地面近くの火事が燃やすものと、高いところの火事が燃やす植物は違います。その妙なる組み合わせによって、火事は森をリニューアルすることもできるのです。例えば、大きく生い茂りすぎている木のおかげで、下に生えている草には日光も当たらないし水や養分も十分に回らない、などという状況は、この大きい木が燃えることによって変わります。
さらに、山火事のもう一つの大きなメリットは、「時々大きな火事が起きることによって、森の中の「燃えやすいもの」の量をコントロールできる」ということです。大きな火事がしばらく起きないと、木は生い茂り、地面は枯れ枝で埋まり、草が生え・・・・。燃えやすいもの(fuel)がいっぱいになってしまいます。この大量のfuelは、次に起こる火事をカタストロフィックな大火事にしてしまう可能性があります。定期的な山火事は、森の「燃えやすいもの」の量を、適量に保つ役割を果たしてきたというわけなのです。
ここで終わると山火事を賛美しているように聞こえてしまいますが、それが結論ではありません。
Stay tuned! 次に続きます。
火事に最適化してしまった植物もいます!ワタシ、火事が起きないと次の世代を生み出せないんです!
Source: http://www.cnr.uidaho.edu/range456/hot-topics/fire-ecol.htm
今回の火事は放火も含まれるということですが、人間が火種を提供しなくても、西海岸の森では定期的に山火事が起こります。元来乾燥した場所ですから。場所、高度、気温、降雨量、木の種類などいろいろな要因が組み合わさって決まるfire interval(大規模な火事が起こる間隔)は、西海岸の生態系では数十年であることが多いようです。
西海岸の森々は、「数十年に一回、全てを焼き尽くすぐらいの大きな火事がある」ことを、何百万年分の経験から学び、システムにインプットしています。そして、気の遠くなるような年月をかけて、「どうしたらその火事から効率よく立ち直れるか」を試行錯誤の中で探してきました。それが現在の(人間が手を入れる前の)森や林の姿です。こういう火事のことをnatural disturbanceとい言い、生態系がそのdisturbanceからどれだけ効率よく立ち直れるか、という強さをresilienceと言います。
何百万年に及ぶ地球システムのQAは、山火事からプラス要因を引き出す技さえもあみだしました。実は、森や林にとっての山火事は、全部が焼き尽くされてゼロになる「ネガティブ要因」だけではないのです。森や林は、山火事から恩恵を受けているのです。全てが灰になるのに、メリットなんてあるの???と思われるかもしれませんが、これがあるのです。
例えば、空気中の窒素やリンが、火事によって土壌に取り込まれ、養分になる。地面に降り積もった灰で、地表の温度が上がる。木の病気や害虫が駆除される。ある意味年末の大掃除のようです。これらのおかげで、火事のあとの「再生」は、健康的かつ効率的に進みます。
また、生態系にいろいろな種類や状態があるように、山火事にもいろいろな種類があります。地面近くを這うように燃えるものもあれば、高い木々の枝を縫って燃えるものもある。当然、地面近くの火事が燃やすものと、高いところの火事が燃やす植物は違います。その妙なる組み合わせによって、火事は森をリニューアルすることもできるのです。例えば、大きく生い茂りすぎている木のおかげで、下に生えている草には日光も当たらないし水や養分も十分に回らない、などという状況は、この大きい木が燃えることによって変わります。
さらに、山火事のもう一つの大きなメリットは、「時々大きな火事が起きることによって、森の中の「燃えやすいもの」の量をコントロールできる」ということです。大きな火事がしばらく起きないと、木は生い茂り、地面は枯れ枝で埋まり、草が生え・・・・。燃えやすいもの(fuel)がいっぱいになってしまいます。この大量のfuelは、次に起こる火事をカタストロフィックな大火事にしてしまう可能性があります。定期的な山火事は、森の「燃えやすいもの」の量を、適量に保つ役割を果たしてきたというわけなのです。
ここで終わると山火事を賛美しているように聞こえてしまいますが、それが結論ではありません。
Stay tuned! 次に続きます。
火事に最適化してしまった植物もいます!ワタシ、火事が起きないと次の世代を生み出せないんです!
Source: http://www.cnr.uidaho.edu/range456/hot-topics/fire-ecol.htm
by kinky25
| 2007-10-26 13:32
| カンキョウの話。
筆者: 環境庁勤務・一児の母。 生息地: カリフォルニア・サクラメント。 ブログについて: サイエンスとトレンドを融合した、わかりやすいエコ・温暖化・サステナビリティ。コメント歓迎です(除く営業)
by kinky25
S | M | T | W | T | F | S |
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
31 |
Link
オルタナ
SustainableBusiness
Business for SR
Climatebiz
Environmental Leader
Green-LinksNY
O2 International
GreenSuppyChain
Design:Green
WBCSD
E-recycling
Mailはこちらから
Kinky25
スキンはこちら
animal skin
以前の記事
2011年 09月2011年 06月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
more...
検索
カテゴリ
全体プロフィール
カンキョウの話。
アメリカ/カリフォルニア
音楽
Life/レシピ&small boy!
サクラメント
アメリカの野菜
未分類
タグ
地球温暖化(41)食(29)
アメリカの環境事情(28)
ビジネス(28)
CO2削減(25)
Green Marketing(19)
エコシステム(19)
地球システム(18)
リサイクル(17)
テクノロジー(12)
生物多様性(12)
エネルギー問題(11)
ゴミ(11)
エコワード(10)
LCA(5)
排出権取引(4)
オーガニック(4)