バイオ燃料は悪者か?
遅かれ早かれこういう論争になると思っていましたが、予想以上に早く来たという気がします。
世界的な食糧価格の高騰に直面し、温暖化対策の切り札のひとつとして米国が主導するトウモロコシなどを原料とするバイオ燃料増産に批判の矛先が向き始めた。
バイオ燃料は、石油などと違い、カーボンニュートラルだと言われます。石油が地下深くに閉じ込められていた炭素を、CO2などの形で空気中にばんばん放出してしまうのに比べ、植物からとれる燃料は、もともと空気中にあった炭素を植物が取り込んだものをまた空気中に戻すだけなので、GHG(温室効果ガス)を増やすことにはならない、という論理。
私も、石油よりはいいかなとは思うのですが、いつかはこの壁にぶちあたると思っていました。
それは、生産工場・地球が、どう転んでも一個しかない、という壁です。
生産工場・地球は、拡大もできなければ第二工場をつくることもできない、私たちのたった一つの資産です。
そして、温暖化や生態系破壊が出している危険信号とは、「生産工場・地球はキャパオーバー!」という信号なのです。平均気温が上がったり、珊瑚が死んだりしているのは、その症状の一つ一つにすぎません。温暖化、熱帯雨林の破壊、珊瑚の死滅・・・・という症状をを一つ一つ解決しようとしたとしても、生産工場・地球がキャパオーバーである、という根本的な病気を解決しない限り、問題はなくならないと思います。そのひずみが、バイオ燃料に現れています。
生産工場・地球は一つしかないのに、人間は、その限界を無視して食糧を生産し、森林を切り開き、鉱山を掘り石油を掘り、宅地をどんどん広げ、工業製品を次から次へとつくり、道路をつくり、ビーチリゾートをつくり、ゴミの埋め立てをつくり・・・・・。あれもこれも、好きなだけいろいろなものをつくってきました。そして土地が足りなくなると、熱帯雨林を伐採したりしてさらにつき進みました。
次第に地球はキャパオーバーになり始め、あちこちに傷みが出てきました。土地の砂漠化、公害や汚染、生態系の破壊、温暖化などがその傷みです。それを解決しようと、今度はさらに土地を使ってバイオ燃料用の耕作地をつくり、CO2吸収のための植林を始めたところです。そしたら食べ物を作るための土地が足りなくなって、食糧の値段があがってしまいました。
さて、バイオ燃料は悪者でしょうか?
バイオ燃料が悪いんじゃないと思います。
過積載のトラックと同じ。過積載のトラックはいけませんが、積荷の一つ一つに責任があるわけじゃありません。積みすぎの状態の危険をちゃんと把握しないで、運転している運転手、さらにはそれをやらせている会社が悪いのです。
バイオ燃料は、積みすぎた荷物の一つにしか過ぎません。
地球を過積載の状態にしたのは、他でもない人間です。地球の積載用量をもう一回みんなで検証して、何をどれぐらい積むのが限界なのか今考えないと、手遅れになるという気がしてなりません。
注) 「生産工場・地球」というのはわかりやすい例えとして書きましたが、実際に地球には生産能力というものがあります。興味ある方は、Net primary productionという単語でググってみてください。
世界的な食糧価格の高騰に直面し、温暖化対策の切り札のひとつとして米国が主導するトウモロコシなどを原料とするバイオ燃料増産に批判の矛先が向き始めた。
バイオ燃料は、石油などと違い、カーボンニュートラルだと言われます。石油が地下深くに閉じ込められていた炭素を、CO2などの形で空気中にばんばん放出してしまうのに比べ、植物からとれる燃料は、もともと空気中にあった炭素を植物が取り込んだものをまた空気中に戻すだけなので、GHG(温室効果ガス)を増やすことにはならない、という論理。
私も、石油よりはいいかなとは思うのですが、いつかはこの壁にぶちあたると思っていました。
それは、生産工場・地球が、どう転んでも一個しかない、という壁です。
生産工場・地球は、拡大もできなければ第二工場をつくることもできない、私たちのたった一つの資産です。
そして、温暖化や生態系破壊が出している危険信号とは、「生産工場・地球はキャパオーバー!」という信号なのです。平均気温が上がったり、珊瑚が死んだりしているのは、その症状の一つ一つにすぎません。温暖化、熱帯雨林の破壊、珊瑚の死滅・・・・という症状をを一つ一つ解決しようとしたとしても、生産工場・地球がキャパオーバーである、という根本的な病気を解決しない限り、問題はなくならないと思います。そのひずみが、バイオ燃料に現れています。
生産工場・地球は一つしかないのに、人間は、その限界を無視して食糧を生産し、森林を切り開き、鉱山を掘り石油を掘り、宅地をどんどん広げ、工業製品を次から次へとつくり、道路をつくり、ビーチリゾートをつくり、ゴミの埋め立てをつくり・・・・・。あれもこれも、好きなだけいろいろなものをつくってきました。そして土地が足りなくなると、熱帯雨林を伐採したりしてさらにつき進みました。
次第に地球はキャパオーバーになり始め、あちこちに傷みが出てきました。土地の砂漠化、公害や汚染、生態系の破壊、温暖化などがその傷みです。それを解決しようと、今度はさらに土地を使ってバイオ燃料用の耕作地をつくり、CO2吸収のための植林を始めたところです。そしたら食べ物を作るための土地が足りなくなって、食糧の値段があがってしまいました。
さて、バイオ燃料は悪者でしょうか?
バイオ燃料が悪いんじゃないと思います。
過積載のトラックと同じ。過積載のトラックはいけませんが、積荷の一つ一つに責任があるわけじゃありません。積みすぎの状態の危険をちゃんと把握しないで、運転している運転手、さらにはそれをやらせている会社が悪いのです。
バイオ燃料は、積みすぎた荷物の一つにしか過ぎません。
地球を過積載の状態にしたのは、他でもない人間です。地球の積載用量をもう一回みんなで検証して、何をどれぐらい積むのが限界なのか今考えないと、手遅れになるという気がしてなりません。
注) 「生産工場・地球」というのはわかりやすい例えとして書きましたが、実際に地球には生産能力というものがあります。興味ある方は、Net primary productionという単語でググってみてください。
by kinky25
| 2008-04-26 13:16
| カンキョウの話。
筆者: 環境庁勤務・一児の母。 生息地: カリフォルニア・サクラメント。 ブログについて: サイエンスとトレンドを融合した、わかりやすいエコ・温暖化・サステナビリティ。コメント歓迎です(除く営業)
by kinky25
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