お肉を食べたら幸せ?
スペインのEuro優勝に気をとられて、そのことばっかり書いてしまいましたが、スポーツで国際間の擬似戦争ができるというのは、本当に幸せなことだと思います。温暖化の影響で資源や水の争奪戦が激化し、国際紛争が増えるというのはかなり確率の高い予測。スポーツで平和に争えることの幸せを、こういう大会を続けることで受け継いでいけますように。
さて、先週、IPCCのパチャウリ議長が我々のいるビルで講演をしてくれました。たぶん忙しいスケジュールを縫ってだったのでしょう、質疑応答まで入れて50分ぐらいと短いものでした。派手な演出のない、とても訥々としたプレゼンでした。さらに、講演を終えて私のすぐ前を歩いていた議長は、思いのほか小柄な方で、しかも展示会で配ってる布バッグのようなものを下げていて、とっても飾り気のない印象でした。そのパチャウリ議長の言葉で印象に残ったものを。
「私が子供のころ(氏はインド出身)は、シャワーなんかなくてバケツで水を汲んで体を洗っていました。今は、10分でも20分でもシャワーを出しっぱなしにして、そのことについて疑ってみることもない。なぜこれを5分に減らせないのでしょう?5分しかシャワーを浴びれなくても、だから不幸だということにはならないと思いますよ」
「肉を食べることは環境に大きな負荷を与えます。家畜を飼うために森を切り開かなければならず、肉を冷凍するためにたくさんのエネルギーを使い、そしてその肉を運ぶのにさらにエネルギーを使う。みんなが20%肉を食べるのを減らすだけでも、温室効果ガスの大きな削減になるのです。」
どちらも、何も新しい話ではありません。でも、IPCCの議長が、「もう今までの生活水準を落とさないとダメなところまできている」ということを、暗にメッセージとして発信している、というのは非常に大きなことだと思います。
少し不便になったり、少し食べる量を減らしたりすることが、「だから不幸だ、ということにはならない」というのは、人間の幸せを、GDPや経済だけで図ろうとする現代社会の価値観からの転換を図らなければならない、ということ。
そして、モノがたくさんあれば幸せ、という価値観からの脱却には、それを身をもって示してくれる、成熟した大人の導きが必要なのだ、と、パチャウリ議長を見ていてつくづく思ったのです。たった50分で彼の何がわかるのか、といわれてしまうかもしれませんが、でも彼の言うことには説得力がありました。この人はたぶん、どんなに偉くなっても、本当にシャワーを出しっぱなしにしないようにしたり、贅沢をしないようにしたりしているのだと思います。
この彼の人となりが、世界中から舞い込んでくる経済優先主義者からの非難の嵐を抑え、IPCCの存在価値を確立した原動力になったのかもしれません。
ただCO2を減らせ減らせ、というだけではなく、パチャウリ議長のように、「経済成長だけが人間の幸せじゃない」ということを人柄を通して訥々と教えてくれる指導者が、世界中に必要だと思います。人から言われてライフスタイルを変えることなんてできない。人がそれをしようと思うのは、誰かの背中を見て「自分もそうなりたい」と思ったときだけなのかもしれません。
さて、先週、IPCCのパチャウリ議長が我々のいるビルで講演をしてくれました。たぶん忙しいスケジュールを縫ってだったのでしょう、質疑応答まで入れて50分ぐらいと短いものでした。派手な演出のない、とても訥々としたプレゼンでした。さらに、講演を終えて私のすぐ前を歩いていた議長は、思いのほか小柄な方で、しかも展示会で配ってる布バッグのようなものを下げていて、とっても飾り気のない印象でした。そのパチャウリ議長の言葉で印象に残ったものを。
「私が子供のころ(氏はインド出身)は、シャワーなんかなくてバケツで水を汲んで体を洗っていました。今は、10分でも20分でもシャワーを出しっぱなしにして、そのことについて疑ってみることもない。なぜこれを5分に減らせないのでしょう?5分しかシャワーを浴びれなくても、だから不幸だということにはならないと思いますよ」
「肉を食べることは環境に大きな負荷を与えます。家畜を飼うために森を切り開かなければならず、肉を冷凍するためにたくさんのエネルギーを使い、そしてその肉を運ぶのにさらにエネルギーを使う。みんなが20%肉を食べるのを減らすだけでも、温室効果ガスの大きな削減になるのです。」
どちらも、何も新しい話ではありません。でも、IPCCの議長が、「もう今までの生活水準を落とさないとダメなところまできている」ということを、暗にメッセージとして発信している、というのは非常に大きなことだと思います。
少し不便になったり、少し食べる量を減らしたりすることが、「だから不幸だ、ということにはならない」というのは、人間の幸せを、GDPや経済だけで図ろうとする現代社会の価値観からの転換を図らなければならない、ということ。
そして、モノがたくさんあれば幸せ、という価値観からの脱却には、それを身をもって示してくれる、成熟した大人の導きが必要なのだ、と、パチャウリ議長を見ていてつくづく思ったのです。たった50分で彼の何がわかるのか、といわれてしまうかもしれませんが、でも彼の言うことには説得力がありました。この人はたぶん、どんなに偉くなっても、本当にシャワーを出しっぱなしにしないようにしたり、贅沢をしないようにしたりしているのだと思います。
この彼の人となりが、世界中から舞い込んでくる経済優先主義者からの非難の嵐を抑え、IPCCの存在価値を確立した原動力になったのかもしれません。
ただCO2を減らせ減らせ、というだけではなく、パチャウリ議長のように、「経済成長だけが人間の幸せじゃない」ということを人柄を通して訥々と教えてくれる指導者が、世界中に必要だと思います。人から言われてライフスタイルを変えることなんてできない。人がそれをしようと思うのは、誰かの背中を見て「自分もそうなりたい」と思ったときだけなのかもしれません。
by kinky25
| 2008-07-01 13:37
| カンキョウの話。
筆者: 環境庁勤務・一児の母。 生息地: カリフォルニア・サクラメント。 ブログについて: サイエンスとトレンドを融合した、わかりやすいエコ・温暖化・サステナビリティ。コメント歓迎です(除く営業)
by kinky25
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