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暴風雨の大型化は温暖化のせい?

ミャンマーのサイクロンNargisが、壊滅的な被害をもたらしています。あまりの甚大さに、ニュースを見るのも(といっても入国が相当制限されているということで、思うように情報は入ってこないようですが)つらくなるぐらいです。とりあえず募金ぐらいしかできることがなさそうなのが心苦しいです。

2005年のハリケーン・カトリーナがまだ記憶に新しいのに、今度はサイクロンの被害。

b0069365_13233233.jpg激しくなる暴風雨は地球温暖化の影響か?と専門家たちの間で意見がわかれているということです

ところで、こういう話をする場合には、先日書いた「気候システムの破綻」の影響、という表現のほうがしっくり来るような気がします。GHG(温暖化ガス)は、平たく言うと、地球上に熱を余計に閉じ込めてしまいます。この余計な熱には気候システムを狂わせる力があります。熱=エネルギーですから、この余分な熱が、今までよりももっと激しくものを動かす力となってシステムを狂わせるというわけです。今まで以上に激しく大気が動いたり、空気中や地上で水が動いたり(風や雨の激化や時期の変化など)、ということですね。というわけで、温暖化(温度の上昇)というよりも、気候システムが狂っていることが問題なのです。

ではサイクロン・Nargisは温暖化=気候システムの破綻が原因なのか?となると、意見がわかれるのは当たり前といえば当たり前。自白もなく凶器もない、指紋も出ない。ただ状況証拠のみから外堀を埋めていくしかない・・・・という殺人事件に似ています。というのも、温暖化が風や雨の循環を狂わせるのが事実だとしても、他にもそれを変えてしまう原因はいろいろあります。温暖化がなくたって、巨大な天災はたびたび地球上で起こっていますよね。それらの原因ではなく、温暖化がカトリーナやNargisの一番大きな原因である、と特定しようとすれば、膨大な研究と頭脳を要するでしょう。

ただひとつ言えるのは、温暖化=気候システムの破綻が完全無罪、ということはありえないであろうということです。黒に近い白・・・・推定無罪はありうるでしょう。でも、完全に無罪ということはないと思います。であれば、何度も言うように「リスク・マネジメント」としてとらえたほうがいいのではないかと思うのです。温暖化が犯人かどうかを、状況証拠だけを積み上げて証明するには、膨大なエネルギーと時間が必要です。その時間と労力、少しでもリスクがあるのなら、それに対して予防策を講じる、という行動に使ったほうがいいと思います。

カトリーナやNargisの被害は、それぐらい大きいです。温暖化と関係ある、関係ない、と言い争いをし、双方で優秀な頭脳と技術を駆使して証拠集めをしてる間に、第三、第四のカトリーナが起きない保障はどこにもありません。そしてそれは、自分の住んでいるところに来るかもしれないのです。
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by kinky25 | 2008-05-09 12:49 | カンキョウの話。

バイオ燃料は悪者か?

遅かれ早かれこういう論争になると思っていましたが、予想以上に早く来たという気がします。

世界的な食糧価格の高騰に直面し、温暖化対策の切り札のひとつとして米国が主導するトウモロコシなどを原料とするバイオ燃料増産に批判の矛先が向き始めた。

b0069365_13314718.jpgバイオ燃料は、石油などと違い、カーボンニュートラルだと言われます。石油が地下深くに閉じ込められていた炭素を、CO2などの形で空気中にばんばん放出してしまうのに比べ、植物からとれる燃料は、もともと空気中にあった炭素を植物が取り込んだものをまた空気中に戻すだけなので、GHG(温室効果ガス)を増やすことにはならない、という論理。

私も、石油よりはいいかなとは思うのですが、いつかはこの壁にぶちあたると思っていました。

それは、生産工場・地球が、どう転んでも一個しかない、という壁です。

生産工場・地球は、拡大もできなければ第二工場をつくることもできない、私たちのたった一つの資産です。

そして、温暖化や生態系破壊が出している危険信号とは、「生産工場・地球はキャパオーバー!」という信号なのです。平均気温が上がったり、珊瑚が死んだりしているのは、その症状の一つ一つにすぎません。温暖化、熱帯雨林の破壊、珊瑚の死滅・・・・という症状をを一つ一つ解決しようとしたとしても、生産工場・地球がキャパオーバーである、という根本的な病気を解決しない限り、問題はなくならないと思います。そのひずみが、バイオ燃料に現れています。

生産工場・地球は一つしかないのに、人間は、その限界を無視して食糧を生産し、森林を切り開き、鉱山を掘り石油を掘り、宅地をどんどん広げ、工業製品を次から次へとつくり、道路をつくり、ビーチリゾートをつくり、ゴミの埋め立てをつくり・・・・・。あれもこれも、好きなだけいろいろなものをつくってきました。そして土地が足りなくなると、熱帯雨林を伐採したりしてさらにつき進みました。

次第に地球はキャパオーバーになり始め、あちこちに傷みが出てきました。土地の砂漠化、公害や汚染、生態系の破壊、温暖化などがその傷みです。それを解決しようと、今度はさらに土地を使ってバイオ燃料用の耕作地をつくり、CO2吸収のための植林を始めたところです。そしたら食べ物を作るための土地が足りなくなって、食糧の値段があがってしまいました。

さて、バイオ燃料は悪者でしょうか?

バイオ燃料が悪いんじゃないと思います。

過積載のトラックと同じ。過積載のトラックはいけませんが、積荷の一つ一つに責任があるわけじゃありません。積みすぎの状態の危険をちゃんと把握しないで、運転している運転手、さらにはそれをやらせている会社が悪いのです。

バイオ燃料は、積みすぎた荷物の一つにしか過ぎません。

地球を過積載の状態にしたのは、他でもない人間です。地球の積載用量をもう一回みんなで検証して、何をどれぐらい積むのが限界なのか今考えないと、手遅れになるという気がしてなりません。


注) 「生産工場・地球」というのはわかりやすい例えとして書きましたが、実際に地球には生産能力というものがあります。興味ある方は、Net primary productionという単語でググってみてください。
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by kinky25 | 2008-04-26 13:16 | カンキョウの話。

土地と食糧の争奪戦が始まった。

Peak oil、危ない中国野菜、アジアのコメ騒動、などきな臭いニュースが増えてきたなと思っていた矢先、こんな記事を見つけました。

アメリカでも、ビジネスチャンスとばかりにバイオエタノール用のトウモロコシ栽培などに切り替える農家が増えたことと、BRICなど、人口の多い新興国の生活水準があがって世界的な食糧への需要が高まったことで、穀物の値段は上がる一方です(日本ほどではないにしても)。

b0069365_1403778.jpgそこで、農家の人たちが「休耕地」をどんどんつぶして畑に戻し始めた、というのです。この場合の休耕地とは、自然の生態系を守るために、耕さないことによって政府から保証金を受けている土地のこと。このプログラムは25年ほど前に始まって、各地で自然回復のために役立ってきたそうです。それがここにきて、今まで休耕地にしていた農家の半数が、「やっぱり畑にします」と休耕地の契約を解除。

環境保護派と農業推進派の間で、なにやら緊張が高まっているようです。

食べ物が手に入りにくくなっているのに、野生を守れも何もあったもんじゃないだろう。自分たちの食い扶持を確保するのが先じゃないか?

推進派とすればそう言いたいところでしょう。

まあねえ。自分たちが飢えてまで自然を守らんでも。

・・・・そうなんでしょうか?

エコシステム・サービスのことを、忘れてはいませんか?

エコシステム・サービスとは、生態系が種の多様性を保つことによって、生産力やきれいな水、災害への強さ、などのサービスを地球に提供してくれることを言います。

畑も自然の一部のように見えますよね。でも、畑と自然の大きな違いは、畑はモノカルチャーであるということです。通常は1,2種類の同じ穀物や野菜しか栽培しません。言ってみれば、クラス全員が野球部員、のようなもの。

それに対して自然は、文化部もいれば野球もサッカーも空手も、マイナーだけどマンドリン部とか、帰宅部とか、非常に多様なのです。

さて、この2クラスが対抗試合をしたとします。畑チームが圧倒的に有利なのは野球の試合だけです。野球だけはものすごい勢いで勝つけど、他のもので勝負しないといけなくなったら、サッカーも絵も音楽もアニメも、からっきしダメ。

これが畑=人間が手を入れた自然のもろさ、弱さなのです。そういう土地は、火事やバッタや病気の発生、大雨、旱魃などに弱い。いったん大打撃を受けたら、元に戻るのに時間もかかります。つぶしが利かないのです。一方、自然の多様性は、火事に強い種、雪に強い種、雨に強い種、などを土地の気候に応じてバランスよく配置しています。なのでこういう災害時にも、必ず1つとか5つとか生き残る種があり、命をつなげて、また生態系を元に戻していくことができるのです。この力を生態系のResilienceと呼びます。

そういう強い生態系を残していくことが、長い目で見れば自分たちを救うことにもなるのですが、目の前の食糧高騰の前には、そんな悠長な決断ができる人は少ない、ということです。

これからは、世界各地でこういうことが起きてくるでしょう。

せめて残飯や食糧の売れ残りを出さない暮らし考えるところから始めて、まじめに取り組まないと(いまだに先進国では残飯がゴミの20-30%を占めると思います)、私たちの子孫の未来は本当に厳しいものになると思います。
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by kinky25 | 2008-04-12 13:51 | カンキョウの話。

カーボン・フットプリント?エコロジカル・フットプリント?

北京オリンピックが近づいてきました。現場の様子が明らかになるにつれ、大気汚染のひどさに懸念を表明する選手が増えているそうですが、ついにトップアスリートが棄権したようですね。

中国の環境汚染の状況は、日本で公害が頻発していた数十年前の様子を想像すればそんなに間違ってはいない、と言われたりします。また、汚染された大気が風にのって日本にまでやってきたり、ゴミが日本海を越えてやってきたり、ということからも、実際に見なくてもその影響の大きさを感じることも多々あるのではないでしょうか。

さて、中国といえば、いまや世界の生産工場です。最近は子供用のグッズを目にしたり買ったりすることが多いですが、私の感じでは95%が中国製。ということは、中国は、他の国の人のためにせっせと工場を稼動して、せっせと環境を破壊しているわけです。もちろん自国のものも作っているだろうし、製造に対する対価を得ている正当な取引なわけですから、問題はないんじゃないの?と言えるかもしれません。

でも、そうやって世界中が中国に押しかけてモノを生産している結果が、汚れた空気であったり破壊された環境であったりするわけです。そのことに対して、世界の消費者の関心はあまり高くないような気がします。カーボン・フットプリント(フットプリント=足跡)、エコロジカル・フットプリントなんて言葉がはやっていますが、中国にはいろんな国のフットプリントがべたべたとついているはずです。だけど、そのつけた足跡がもたらす影響については、足跡をつけた張本人たちは責任を感じていないかもしれない。

環境問題はグローバル。中国から風が運んでくる汚れた大気を、日本は止めることはできません。地球はつながってるのです。遠くにつけた足跡だから、自分には関係ない、ということは絶対にないのです。カーボン・フットプリントなどでは、「自分がどのくらいCO2を排出したか」計算したりしますけど、「自分が世界のどこにフットプリントをつけているか」を知ることも大事だと思います。
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by kinky25 | 2008-03-11 13:07

温暖化で塩化。

b0069365_7541237.jpg人はどうしたってまず水のあるところに住み着くものなんですよね。

ゴールド・ラッシュでカリフォルニアに突然人が押し寄せたとき、最初に栄えたのがサンフランシスコーサクラメントのルートだったのですが、このルートはそのまま水系でもあります。サンフランシスコ湾に注ぐ、サクラメント川とその水系をたどるルート。(昔は野生の鮭が帰ってきた川!)

その水系が、温暖化によってどういうふうに変わるか、というセミナーを聞きました。水系は、温暖化による海面の上昇で大きく変わることが予想されてます。そして、その中で「あ、それ忘れていた。」と思った話題がありました。

水質のSalination → 日本語では「塩化」とでも訳すのでしょうか。調べなかったので間違ってるかも。

海面の上昇というと、ツバルなど「沈む国」を思い浮かべますが、水質の塩化は忘れられがちな話題。でもこれ、よく考えると大問題。

当たり前ですが、陸地は海よりも標高が高くて、陸地にある真水は川などを通して海に注ぎ込みます。でも、海の高さが上がると、標高の低い場所では、この流れが逆流する場合が出てくる。つまり、海水が陸地に侵入してくる。そうなると、水も土地も塩分を含んでしまうことになります。海面1メートル上昇ぐらいでは、海岸から遠い場所の土壌や水質の変化にそう影響はないような気もしますが、海には潮がありますよね。たった1メートルの上昇でも、この高潮のときにどっと海水が浸食してくるそうで、その影響はかなり深刻なものだそうです。

飲み水が塩化するのが第一の問題ですが、次には農業が大打撃を受けます。

カリフォルニアはもともと雨が少なく、農業は灌漑に頼ってます。サクラメントのあたりでは飲み水も農業も、深刻な状況になることが予想されるため、いろいろな対策を考えてるそうですが、どれもこれも一長一短。例えば塩化を防ぐには、まとまった真水をどかんと水系に放出するのが効果的だそうですが、(ピストンのように海水を押し返すんでしょうね)その水が洪水のような影響をもたらしたら、土壌にも生態系にも、人間の生活にも影響を与えてしまう可能性がある。今のところ決定打はないようですし、いずれにしても対策がとても高くつくことは間違いないようです。

どこかの国の農業が大打撃を受ければ、輸入に頼っている日本の食糧事情はさらに悪くなります。このSalination問題、無視できない大きな問題だと思います。
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by kinky25 | 2008-03-06 02:46 | カンキョウの話。

寒くなっても温暖化

今日何とはなしに「地球温暖化」でYahoo検索してみたら、「温暖化っていうけど、急に寒くなった。こんなに寒いのに、ほんとに温暖化なの?」という記事にたくさん当たりました。

そうか。

「温暖化」と聞いたら、「あたたかくなるもの」と思いますよね。

この二つのグラフ、比べてみてください。

b0069365_1413497.jpgb0069365_14131887.jpg








私が適当に作ったグラフなんですけど、どんな風に見えますか?左のほうが安定していて、右は激しいように見えませんか?でも、実は平均は同じ値なんです。

「温暖化」と聞いて想像するのは、多分左の感じだと思います。地球の平均気温は徐々に上がる。でも、実際は、必ずしも「徐々に上がる」わけではなく、右のようになる可能性もあります。これは、ローカルの天候にも、グローバルの天候にも言えることです。

例えば、温暖化の影響で異常に暑い日があったとします。地表は熱され、その熱はどんどん大気中に上っていきます。もちろん、暑いと水も蒸発します。なので、水蒸気を含んだ熱が大量に大気中に昇っていくことにないります。熱をふくんで膨張した、湿った大きな空気の塊が、ぐんぐん大気中を昇っていく。・・・・上っていって、最後はどうなるのでしょう?

そもそも「熱」はエネルギーです。エネルギーは、A地点がらB地点にモノを動かしたり、モノの形を変えたりすることができます。なので、大気を動かしたり、水を水蒸気にしたりすることができるわけです。そして、大気中に昇っていくのが今までにない異常な量の熱なので、今までにはあり得なかった量の大気を動かして暴風をひきおこしたり、今までにはありえなかった量の水を蒸発させて、それをまた大雨として降らせたり、そいうことが起きるようになるのです。だから、温暖化の影響で今までとは違う大きなスケールの災害が起こる、という予測が立つのです。

そうはいっても、地球は自転・公転しているので、温暖化に関係なく太陽があたらない時間・シーズン・地域は常にあります。だから、温度(熱エネルギー)は地表に平等に分散しているのではなくて、動いています。(熱はじっとしていませんよね。熱いほうから冷たいほうに動きます)その動きが温暖化の影響で激しくなると、激しく暑いだけじゃなくて、激しく寒い、激しく豪雪、などもバリエーションとしてあり得てくるのです。(暖かい大気の塊が一気に動いたあとに、寒気がどっと流れ込む、とか)なので、温暖化の影響で寒波、豪雪、があり得るのです。

そういうジェットコースターのような気候の不安定化が、温暖化の影響による「異常気象」なのです。そういうわけで、「温暖化による平均気温の上昇」は、左ではなく、右のようなグラフになるかもしれない、ということになるのです。

ゴールドラッシュは次回。
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by kinky25 | 2007-11-27 14:57 | カンキョウの話。

船場吉兆偽装問題に思う。

吉兆といえば高級料亭。高級料亭が食品の偽装をするなんて、バーバリーがウールの偽装をするようなものです。

けしからん。

というのが一般的な見解でしょう。

吉兆を擁護するわけでもなんでもないのですが、この「偽装問題」、私には常日ごろ疑問だったことがありました。

例えば、「関アジ」「関サバ」。これらって、大分県佐賀関沖でつれたものだけなはずなんですけど、ブームになったときはけっこうあちこちで見ました。それから、昨今ブームの「おとりよせ」。○○産の蟹だの、天然あわびだの、○○産コシヒカリだの・・・。今回の吉兆の場合は、但馬牛や三田牛だったようですね。

トータルではすごい量が出荷されてると思えてしょうがないんですけど、こういう「高級食材」ってそんなに生産キャパがあるんでしょうか??特に天然もの。通販で全国に売るほど獲れるのでしょうか?

もちろん、それらの生産者や流通のみなさんを全部疑ってかかっているのでは、毛頭ありません。ただ、「その食材は、どこから出てきたんだろう??」というのが、疑問で仕方ないのです。元来100しか獲れないところから、300ぐらい出してるような感じがするんです。実際、関サバ関アジはそれが問題になって、後日「証明ラベル」みたいなものができましたよね。

グルメでも何でもいいのですが、消費者は「おいしいもの」に執着するあまり、食べ物には何でも「生産キャパ」があるということを忘れがちです。そして、金さえ出せばなんでも食べられる、さらには提供する会社の競争によって、どんどん安くなるかのような錯覚を抱きがちです。

b0069365_1523396.jpgでも実際はそんなことないわけです。希少な食材は、数が少ないから希少なのであって、大量に出回ること自体がおかしいのです。日本人の大好きなマグロは、成長するのに何十年もかかります。それを日本人は「今お寿司が食べたいから~!」と、世界中のマグロが成長しきる前に獲って食べあさっています。天然のマグロ、世界の海から消えていっています。

刺身なんてそのへんには売っていません。お魚はずいぶん缶詰のお世話になってます。


偽装は悪いことです。でも、「おいしいものが食べたいから」という理由だけで、高級=希少食材を買い漁った結果、食材が少なくなって、偽装せざるを得なくなる、という構図が変わらない限り、また出ると思います、偽装問題。もちろん高級食材に限らずなんでも、「食べつくして」しまえば、同じことは起こると思います。

そして、私たちは「食べつくし」の限界に来ているのかもしれません。最近このことばかり書いているような気がしますが、世界平均で一人当たりにまわってくる食糧は、確実に減ってきています。そしてこの問題は、バブルがはじけるように一気に表面化するような気がしてなりません。大きな理由は日本の食糧の自給率が40%以下だということです。アメリカ一国でも、「もう日本に食料売るのやーめた」となったら、おとりよせどころではありません。

大問題でしょ?なぜ日本では食糧問題に危機感がないのか、私にはとても疑問です。偽装問題は氷山の一角です。「食料資源には限りがある、そして減ってきている」という大きな問題の。
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by kinky25 | 2007-11-16 14:43 | カンキョウの話。

チョコレートとフェアトレード

うちのおばあちゃんは、何かというと「私らの若いときはこんなもの食べれなかった」というのが口癖です。当たり前ですが、それを言い出すと、ほとんどの食べ物がそうです。「卵、肉、バナナ、アイス、etc, etc....。」特にバナナなどは、すでに真っ黒になったのを家族で1本ありがたがってみんなで食べた、という話をしょっちゅうしてました。

もちろん今は何でも普通に食べれます。生産性は向上したし、冷凍や輸送の技術も進歩したし、あと何でしょう。とにかく文明の発達が勝因でしょうか。

b0069365_14493589.jpgでも、「何でも普通に食べれる時代」がそろそろ頭打ちになってきた感があります。私も何度か書きましたが、小麦に始まり、いろんな食糧が軒並み価格高騰中です。私は主に「畑が食料とバイオ製品の間で奪い合いになっている」ことをよく取り上げてますが、もう一つの大きな理由に人口の増加、それも経済成長国の人口の増加があります。例えば中国の人たちの生活水準があがるだけでも、地球規模で必要になる食資源の量に、大きな違いが出ます。

もはや、食料の値段を上げるしか方法がありません。地球が一個しかない、という問題がどう逆立ちしても解決できないからです。でも、地球は今も昔も一個しかなくて、地上の耕作地も同じように限られていたのに、なぜ「今は昔と比べて何でも食べられるようになった、豊かになった」のでしょう?よくよく考えてみると、文明のおかげや技術の進歩もあったんだけど、実は「誰かの犠牲の上に成り立っていた」ことも大きな理由なわけです。犠牲になっていたのは、
① 地球
② 貧しい国の人たち
です。つまり、「普通に食べる」ことができた人たちは、先進国の人やお金持ちだけなわけであって、それは地球と他の人たちの犠牲があったからこそなのです。
① の犠牲は、「生態系の破壊」という形で、そして「エコシステム・サービス」の低下となってじわじわと問題化してます。この犠牲を、エコロジカル・フットプリントと呼んだりします。
② の犠牲は、多くの人々が「飢えに苦しんでいる」という事実だけではなく、労働者、生産者としての彼らを「搾取する」という形でも行われています。カカオ、コーヒー、バナナ、ゴムのプランテーション、縫製工場(ナイキ、ギャップなどの大会社でもしばしば問題になります)などいろいろな所で、たったの今も、不当な賃金や不当な年齢、待遇で働かされている人たちがたくさんいます。そんな言葉はないと思いますが、レイバー・フットプリントとでも呼びたいぐらいです。

② をなくするために、フェア・トレードという考え方があります。安い賃金で過酷な労働条件で、安くモノを作らせないために、ちゃんとプレミアムをつけて製品を買い取り、労働者や生産者にそのお金や利益を回し、サステイナブルなインフラを作る方法です。もちろんフェアトレードの製品は、普通のものより高いです、プレミアがついているのですから。

b0069365_14362676.jpgエクアドルでフェアトレード生産されているキヌア。私も最近食べるようになりました。あれ、フェアトレードだったのかな・・・。キヌアはこちらをCheck

フェアトレードはヨーロッパで最も進んでいます。すばらしい理念だと思います。しかし、イギリスで消費者を調査したところ、大多数の人が「フェアトレードで製品が値上がりしても支持する」と回答したにもかかわらず、実際に値上げされたら買った人はずっと少なかったそうです。

理想と現実のギャップです。

ところで、今度は森永チョコボールが値上げだそうです。消費者としては不満が募るかもしれませんね。でも、地球を犠牲にして安く大量に食べ物をつくってきたツケを払うかのように食料事情が悪くなっている上、よ他の国の人たちの生活を犠牲にして安い食べ物をつくってきたツケをフェアトレードで弁償しようとすれば、値段はさらにあがるのです。(ちなみに森永チョコボールがフェアトレードのカカオを使っているかの情報は、Webでは入手できませんでした)

食べ物の値段、いったいどこまでが許容範囲でしょうか?逆に、①と②の犠牲をなくしたら、値段はいくらになるのでしょうか?うちのおばあちゃんの「私らの若いころは・・・」あたりが適正価格、だったりするのかもしれません。あの時代、森永チョコボールはおそらくそこらへんにはなかったかと・・・。
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by kinky25 | 2007-11-14 14:22 | カンキョウの話。

食べ物・ナノテクノロジー・毒性。

親戚にうちの息子とほぼ同い歳(1歳7ヶ月)の男の子がいます。彼が10ヶ月のとき、「マックのチーズバーガーを1個ぺろりと食べちゃった」という話を聞きました。もちろん周りの人は「たくさん食べられてすごいね」という意味で話していたのですが、「10ヶ月児にマック」が、私には衝撃でした。

今日、父さんが彼に会ったら、1歳7ヶ月でポテトチップスバーベキュー味をばりばり食べていたそうです。(ちなみにアメリカのポテチは日本のよりさらにしょっぱい。)うちの子にもくれようとしてたとか。成長期の子供にジャンクフード、個人的にはとてもよくないと思うけど、それでもよそのお子さんに「やめなさい!」とまでは言い切れません。

b0069365_15451283.jpg話は変って大昔のことですが、連合赤軍浅間山荘事件というのがありました。事件の総括の一環として、「彼らはインスタントラーメンばかり食べていて野菜を全然摂っていなかった。そのせいで精神的にいらいらして不安定になって、凶暴性を増した」というような意見があったと思います。今そんなこと言ったら、「即席ラーメンが原因という科学的な証拠を見せなさい!」と麺会社から訴えられるんじゃないかなと思います。

食べ物って体に入るものだから、他のものよりもずっと厳しく毒性を厳しくチェックされています。なので、「毒性のある食べ物」が堂々と市場に出回っている、とは考えられません。とはいえ、ファストフードや即席ラーメンには「微妙な毒性の物質」が含まれているんじゃないかと思います。食べたことによって今日の明日はっきりと影響が出なくとも、数十年かけてじんわりと結果が現われるような、ゆるやかな毒性。でも現代社会では、そういう物質について、科学的なデータもなしに「微妙だからやめたほうがいい」とは言えません。そしてそういう「微妙な物質」の影響の科学的データを集めようとすれば、天文学的な手間とお金がかかると思われます。

最近この「毒性」(Toxicity)というのが、気になっています。食べ物とは直接関係ないけど、「ナノテクノロジーの環境評価」が今旬で、個人的によく耳にする言葉なのです。ナノテクは世界中で評価が始まっていて、「人体への影響」「生物への影響」「環境への影響」(つまり毒性)をいろいろな分野の専門家が調べ始めています。ナノ粒子は、「体に入ったら即影響が出る」という超急性のものは今のところ確認されてないと思います。どちらかというと「微妙な毒性の物質」の部類に入りそうです。実験データを集めようとすると、莫大な手間とお金がかかる、というところも同じです。

さてこの「微妙な毒性の物質」、一体何なのかずーーっと考えてました。そのうち、なんとなく自分なりの「毒性とは?」の定義が見えてきたような気がしている今日この頃です。

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人間って、最もゆるやかに進歩する生物だと思います。下等動物の中には、あっという間に環境の変化に適応して変わる生物もいるんですよね。(↑イギリスの蛾。産業革命期に、工場からのばい煙で汚れた空気に適応してグレーから黒に変わった!)

でも、人間はそんなに簡単に変わらない。何万年も前に、「自然界から摂れる栄養」や、「自然界から人体に入ってくる物質」を処理することを目的として作られた体の機能も、そんなに大きくは変わっていないのじゃないかと思います。ところがここ50年や100年で、それまで何万年も体の中に取り込まれたことがなかった物質が、急に入ってくるようになった。体のほうは、それに対応してすばやく変わるというところまではいかず、「想定の範囲外」の物質をうまく処理できない。そのために、機能不全を起こす。それが人体にとっての毒性ってことなんじゃないかと思います。

そういうふうに考えると、「人工のもの」には、人体にとって「想定の範囲外」のものが多い、というのが直感的にわかります。食べ物の場合は、主に化学物質(自然界に存在しない分子構造とか)や、摂取量でしょう。ナノテクの場合は、分子構造と、サイズ。人体が想定していない小ささなので、「DNAレベルで影響が出るのでは」とも言われていますが、いかんせんその影響を実験で調べるのが至難の業です。

もちろん、想定の範囲外で、いい影響を与えるものもあると思います。薬とか。でも、明らかにいい影響がない限りは、体内に入るものはできるだけ想定の範囲内にとどめてあげたほうが、体にとっては負担が少なく、楽なんじゃないかなと思ったりします。

この「微妙な毒性の物質」論は、あくまで個人的な意見で、科学的な論拠はありません!なのでつぶやきとして聞いてください。これが正しいか間違っていたかは、50年後、100年後にわかるかも。
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by kinky25 | 2007-11-12 15:01 | カンキョウの話。

南カリフォルニアの山火事は昔により頻繁になったのか? - fire ecology Part2 -

昨日は、「西海岸の森は、数十年に一回の山火事を前提に構成されていて、山火事を経ながら健康や均衡を保っている」ということを書きました。この、生態系と山火事の関係の総合的なパターン(火事のタイプや規模、頻度、森の焼失面積や焼失度合いなど)のことを、fire regimeと言います。

ところで、南カリフォルニアでは2003年にも未曾有の大きな山火事がありました。まだ記憶に新しいと思います。それに、2003年から今起こっている山火事の間にも、もっと小さな規模で毎年のように火事のニュースがありました。これって、山火事が以前より頻繁に、大規模になっているということなのでしょうか?それともまだ、今までどおりのfire regimeの範疇なのでしょうか?今後はどうなるのでしょうか?

諸説があります。「増えているし、ひどくもなっている。」「いや、今までと同じである。想定の範囲内。」科学者たちが、喧々諤々研究と論争を繰り広げているところです。ではまず、「火事が頻繁に、大規模になっているとすれば、それは何が原因なのか?」についてみてみましょう。これにも諸説があります。例えばfire suppression。Land use。それから地球温暖化。

まず、fire suppression(消火、防火活動、計画的な野焼き)が次の火事を大規模にする、という意見について。私はEcologyのクラスで山火事のことを知るまでは、「火事=ダメージ=一刻も早い消火が必要」と思い込んでいましたので、「消火が火事の原因になる」という可能性については考えてもみませんでした。
もちろん、「火事=ダメージ」という方程式は、人間社会にとっては100%Trueです。でも昨日書いたように、山には定期的な火事が必要。なんとニーズが完全に逆転しています。これが、「消火活動が次の火事のリスクを高めてしまう」、というねじれ現象をうみだしてしまうのです。

b0069365_1562586.jpgそもそも「森は火事を必要としている」ということは、150年ほど前、開拓時代にヨーロッパ人が西海岸にやってきたころには誰も知らなかったし、彼らは自分たちの身を守るために、切り開いた森から火事を減らさなければなりませんでした。一番手っ取り早く効率的だったのが、森をGrassland(草原)に変えて牧畜をすることでした。(単位面積当たりにあるfuel(燃えやすいもの)の量を考えたら、草原のほうが火事になりにくく、火事の規模も小さい、ということが想像できると思います)こうして、多くの森が草原になりました。そして森にはfuel (燃えやすいもの)が予定以上に残りました。

また、いったん起こった山火事に対しては、「消火活動」が行われるようになりました。消火活動は、「数十年に一回の山火事」が燃やそうとしていた範囲が全部燃やし尽くされる前に火を消し止めてしまうので、予定より多くのfuelが、次回の火事に繰り越されることになりました。

まとめると、消火・防火活動は、図らずも森の中にあるfuelの量を増やしてしまう。それが、次に起こる火事の規模をよりカタストロフィックにしてしまうという、ということになります。

ここまでだと、「じゃあ消火・防火はしちゃいけないのか?」と思われてしまいそうですが、そうではありません。

次に続きます。

Photo source: http://forestfire.nau.edu/grazing.htm
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by kinky25 | 2007-10-27 14:08 | カンキョウの話。


筆者: 環境庁勤務・一児の母。 生息地: カリフォルニア・サクラメント。  ブログについて: サイエンスとトレンドを融合した、わかりやすいエコ・温暖化・サステナビリティ。コメント歓迎です(除く営業)


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