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岐路に立つキャップ・アンド・トレード

温暖化対策のための政策として、「キャップ・アンド・トレード」はすっかり定着してきたように思えます。ヨーロッパのEU ETS(Emissions trading scheme)という制度は2005年にテストランが始まり、2008年からは第2期に入っています。これに続けとばかりに、各国・各地域で法案が提出され、喧々諤々の議論が戦わされてきました。

2005年ぐらいから活発化したこの動きは、オーストラリアやニュージーランド、カリフォルニア州、そしてアメリカの連邦議会などで、実際に法案が出されるまでになりました。そして私の働いているカリフォルニア州では、AB 32という法案が実際に通り、2012年の開始を目指して法則づくりに入っています。

温暖化ガス規制に向けて、世界レベルで動きが加速するか ---- に見えた、この数年でしたが、ここに来て、オーストラリアの法案は議会で可決されず、アメリカ連邦議会でも今年通過の見込みはだいぶ薄くなる、という状況に変わってきました。

今年の末には、コペンハーゲンでCOP15(京都議定書後の枠組みを話し合う国際会議)があるので、どの国も「コペンハーゲン」を合言葉に、それまでに何らかの制度を確立しようとがんばっているのですが、温暖化ガス規制への風は、ここに来て一気に逆風。アゲインストの風が吹き荒れています。

一番の理由は、世界的な景気の後退です。ただでさえ打撃を受けている産業界からは、これ以上のコストは産業に大きなダメージを与える、という大きな大きな声があがっています。

さらに、中小企業や低所得者層などからも、電気代といったエネルギーの料金があがると経営や生活に大きな打撃になる、という強い反対の声。

「地球にやさしく」「持続可能な未来を」と言うのは簡単ですが、いざ自分の電気料金があがるかもしれない、となると、やはりきれいごとではない人間の面が見えてきます。特にこの不況で、どの国も失業率があがっているため、温暖化政策は、さらに失業率を増やす、という見方をする人も多く、反対派の人たちは「キャップ・アンド・トレードは生活のコストを大幅に上げ、仕事も奪う」というネガティブ・キャンペーンを行っています。

実際には、規制によって得た財源は、中小企業や低所得者保護のために使うこともできるし、制度が始まっていきなり電気代がはねあがるようなプログラムは誰も作らないとは思うのですが、それでも、事を極論化して、賛成派と反対派があからさまにケンカする、というようなあまりよろしくない状況ができてきつつあるように思います。

「今」を基点に、誰が損するのか、という議論がヒートアップしてしまうと(もちろんそれはとても大事なことですが)、そもそもの問題が忘れられてしまう気がして心配です。温暖化の規制は、私たちのためにやるのではない。子供たちのためにやるのだと私は思っています。今自分がいい暮らしをするためになら、子供が犠牲になってもいい、と思える親はそうはいないはずなのですが、もちろん事はそんなに単純じゃない。

感情がヒートアップするなかで、ケンカに勝つか負けるかが目的になってしまわないことを、血が流れないことを(比喩的な意味でですが)、祈るばかりです。正直、少し背筋が寒いものを感じている今日このごろです。
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by kinky25 | 2009-08-23 16:00 | カンキョウの話。

石炭カムバック?

息子が「機関車トーマス」の大ファン。リンゴ・スターがナレーションをしているという意外な発見(実はけっこう有名な話だそう)もあったりしながら、石炭を燃やして走る蒸気機関車たちの物語を一緒に楽しんでおります。

・・・・石炭を燃やして走るのは、古い物語の中だけにして欲しいと思うのですが・・・・

b0069365_13575044.jpg石油高騰のあおりをうけて、最近石炭がまた注目を集めているのです。石炭といえば、燃やした時のCO2排出量は、石油よりもずっと多いという「クリーンじゃない」エネルギー。最近はClean coal テクノロジーなんて言って、石炭からのCO2排出量を減らす技術もありますが、それでもアメリカで排出されるCO2量は、ほかの燃料に比べて石炭が圧倒的に多いです。石炭復活はCO2削減の動きに大きく逆行するのですが、背に腹は変えられない、ということなのでしょうか。

石炭というと中国を思い浮かべるかもしれませんが、実はアメリカも一大石炭産地。発電にも、実はばんばん石炭を燃やしています。

さらに、石油は近い将来枯渇すると予測されますが、石炭はなんとまだ200年以上埋蔵量がある上、ロシア、アメリカ、中国など、自立していてインフラのある国にたくさんねむっているため、採掘にも問題はなさそうです・・・・。

石油の値段が高騰して、化石燃料からの脱却を図る転機になるかと思いきや、石炭に逆戻りしてしまっては、ますます状況は悪化するでしょう。

石炭の行方は、温暖化の将来を左右しそうです。
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by kinky25 | 2008-07-08 13:53 | カンキョウの話。

お肉を食べたら幸せ?

スペインのEuro優勝に気をとられて、そのことばっかり書いてしまいましたが、スポーツで国際間の擬似戦争ができるというのは、本当に幸せなことだと思います。温暖化の影響で資源や水の争奪戦が激化し、国際紛争が増えるというのはかなり確率の高い予測。スポーツで平和に争えることの幸せを、こういう大会を続けることで受け継いでいけますように。

b0069365_13402914.jpgさて、先週、IPCCのパチャウリ議長が我々のいるビルで講演をしてくれました。たぶん忙しいスケジュールを縫ってだったのでしょう、質疑応答まで入れて50分ぐらいと短いものでした。派手な演出のない、とても訥々としたプレゼンでした。さらに、講演を終えて私のすぐ前を歩いていた議長は、思いのほか小柄な方で、しかも展示会で配ってる布バッグのようなものを下げていて、とっても飾り気のない印象でした。そのパチャウリ議長の言葉で印象に残ったものを。

「私が子供のころ(氏はインド出身)は、シャワーなんかなくてバケツで水を汲んで体を洗っていました。今は、10分でも20分でもシャワーを出しっぱなしにして、そのことについて疑ってみることもない。なぜこれを5分に減らせないのでしょう?5分しかシャワーを浴びれなくても、だから不幸だということにはならないと思いますよ」
「肉を食べることは環境に大きな負荷を与えます。家畜を飼うために森を切り開かなければならず、肉を冷凍するためにたくさんのエネルギーを使い、そしてその肉を運ぶのにさらにエネルギーを使う。みんなが20%肉を食べるのを減らすだけでも、温室効果ガスの大きな削減になるのです。」

どちらも、何も新しい話ではありません。でも、IPCCの議長が、「もう今までの生活水準を落とさないとダメなところまできている」ということを、暗にメッセージとして発信している、というのは非常に大きなことだと思います。

少し不便になったり、少し食べる量を減らしたりすることが、「だから不幸だ、ということにはならない」というのは、人間の幸せを、GDPや経済だけで図ろうとする現代社会の価値観からの転換を図らなければならない、ということ。

そして、モノがたくさんあれば幸せ、という価値観からの脱却には、それを身をもって示してくれる、成熟した大人の導きが必要なのだ、と、パチャウリ議長を見ていてつくづく思ったのです。たった50分で彼の何がわかるのか、といわれてしまうかもしれませんが、でも彼の言うことには説得力がありました。この人はたぶん、どんなに偉くなっても、本当にシャワーを出しっぱなしにしないようにしたり、贅沢をしないようにしたりしているのだと思います。
この彼の人となりが、世界中から舞い込んでくる経済優先主義者からの非難の嵐を抑え、IPCCの存在価値を確立した原動力になったのかもしれません。

ただCO2を減らせ減らせ、というだけではなく、パチャウリ議長のように、「経済成長だけが人間の幸せじゃない」ということを人柄を通して訥々と教えてくれる指導者が、世界中に必要だと思います。人から言われてライフスタイルを変えることなんてできない。人がそれをしようと思うのは、誰かの背中を見て「自分もそうなりたい」と思ったときだけなのかもしれません。
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by kinky25 | 2008-07-01 13:37 | カンキョウの話。

発見・森林間伐等促進法案。

先日割り箸と間伐の話を書いてから、気になっていろいろ調べています。

ところで、最近「森林」と聞いて思い出すのはカーボン・オフセットではないでしょうか。木(植物)は、光合成でCO2を吸収して、C(炭素)部分を体内に貯めることができますよね。なので、木を植えれば空気中のCO2を取り込んで貯蔵してくれる、という考え方です。英語ではcarbon sequestrationと呼ばれます。

カーボン・オフセットを買うと、木を植えてくれる、というサービスも少しづつ浸透してきてると思います。つまり、「温暖化対策のためには森林をきちんと管理しないといけない」という意識は高まってきているはず。

というか実際、京都議定書には、日本の森林吸収目標(1300万炭素トン)がちゃんと定められている、と。

一方、今年始まった第1約束期間で、日本は目標を達成できそうにないので、ハンガリーから排出権を買う、という話もありました。

排出権を外国から買う、という意味は、国内では削減のためにこれ以上できることがないので、できる国にやってもらってその分お金を払うということです。でも京都議定書の場合は、「ホットエアー」などと呼ばれていろいろ問題もある排出権取引。さらに、「買ってるのは実は日本だけ?」というような妙な国際関係もあり、ちょっと釈然としません。

日本の森林が危機的状況にあるのに、そこまでして海外から排出権を買うっていうのはどういうことなんでしょう?

ていうか、そのお金で間伐促進をして、たくさん炭素を吸収できる健康な森をつくったほうが建設的ではないのでしょうか??

・・・・もちろん現実はそこまで単純じゃありませんが、温暖化の予算を間伐促進に回せれば、森林の回復と温暖化対策をいっぺんにやれて一石二鳥じゃないですか?

と思っていたら、森林間伐等促進法案というのが国会に提出されて、成立を目指しているそうなんです。全然話題になってない気がするんだけどどうなんでしょう。法案の内容を全部読んだわけじゃないけど、コンセプトとしては絶対に必要なものだと思われます。

もう少し調べてみます。
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by kinky25 | 2008-05-26 13:46 | カンキョウの話。

温暖化改め気候システムの破綻 と 風の関係。

先日、5月なのにもう100度を越えたと書きました。

そういう暑い日が3、4日ほど続いて、その後突然大風が吹き荒れる日が2日ほど続きました。そして今日から寒くなりました。

なんじゃこりゃ?な天気なのです。

この大風はけっこう深刻で、Santa Cruzのほうでは森林で発生した火事がこの風で大きくなってしまい、かなり大きな被害を出したとのことです。

ところで、大風といえば、ミャンマーの「ナルギス」が記憶に新しいですが、この「風」って何なんでしょう。

先日100度を越えたときには、この季節にはあまりないぐらいの熱が地上から大気中に上っていったと思われます。温まって膨張した熱は上に上がっていきますよね。(湯気が上に上がっていくように) そうやってあたたかい空気が上空にかーーーっと上っていくと、その分下空(とはいいませんが、イメージとしてとらえやすいのでは?)にすきまができてしまいます。

そこに、上空で冷やされていた空気が、横なぐりにどどどどーーーっとなだれこんでくる。

ちょっと単純化しすぎているかもしれませんが、「風」がおこるしくみとはこんな感じです。

温暖化(気候システムの破綻)に風が関係あるというイメージがわきますでしょうか?

温室効果ガスによって地上に閉じ込められた余分な熱が、地表をじりじりとあつくする。その熱が大気中にぐーーんと上っていく。その後に今度は冷たい風が一気にながれこみ・・・・というイメージを頭の中に描いてみてください。熱を含んだ空気が、「塊」のように見えてきませんか?この塊がすごい勢いであがったりさがったり、あっちにいったりこっちにいったりしたら、強烈な風が吹いたり、強烈な雨がふったりしそうですよね。

それがハリケーンだったり、最近のサクラメントで見られたミニ大風だったり。もちろんこれらの災害、温室効果ガスが閉じ込めた余計な熱の分、激しくなってしまいます。それが温暖化による異常気象、というわけです。

風もあなどれないと思えてきました。

あまり高い木を植えたりしないほうがいいかもしれません。いや、冗談じゃなく。
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by kinky25 | 2008-05-24 14:49 | カンキョウの話。

早くも夏バテです・・・・

b0069365_13393825.jpgサクラメントというところは、内陸なので元来冬はけっこう寒く夏は暑いのですが・・・・

今年は5月半ばで100度を越えました。華氏100度って約38度です。

あづいーーーーーー。

「温暖化」とはいうけれど、「暑くなる」っていうのは気候システムが破綻することによる異常気象現象の一つにしか過ぎない、なんて書いたりしていますが、こう暑いと、やっぱり熱波だけでも深刻な問題だと。

しかもサクラメントの夏はとーーーってもドライ。空気はからっからな上に焼かれるように暑いのでなんかとても消耗します。目玉がからからに乾いてひりひりします。じめじめしたのも辛いけど、からっからもこれはこれで。

ふだん多少こまめに節電していても、暑さ対策のエアコンで一気にぱあだな・・・・と思うのでなるべくつけないようにはしていますが、それでも西日が激しい時間帯はすでに2時間ぐらいエアコンをつけないと厳しくなってきました。・・・まだ5月なのに!

節電と暑さのせいのエアコン、どうしたらいいでしょう。

暑さ寒さが厳しいときは、なるべく大人数ですごすようにしたらどうかな?

アメリカ人は、エアコンなどをつけることにまったく罪悪感を感じないヒトたちなので、多少温暖化対策で節電しても、暑い日が増えてエアコン使用頻度があがったら、たちまちエネルギー消費が増えてしまうような気がします。

ちなみに、アメリカの一人当たりのCO2排出量ですが、私はどういうわけか10トンぐらいだと思い込んでいました。日本は7-8トンぐらいだったと思います。ヨーロッパには6トンぐらまで減らしている国もあります。

アメリカ、どれくらいだと思いますか?

省エネが進んでいるといわれるカリフォルニアでも、13トン超え!

国平均では、20トン超えておりました・・・・。

あああ、道は遠い・・・・。

しかし、暑くなる→エアコン→さらに暑くなる→さらにエアコン→もっと暑くなる→もっとエアコン・・・という悪循環は、どうやって断ち切ればいいのでしょう。・・・・そういうことを考えようにも、あんまり暑いと頭も溶けます・・・・。
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by kinky25 | 2008-05-21 13:39 | アメリカ/カリフォルニア

暴風雨の大型化は温暖化のせい?

ミャンマーのサイクロンNargisが、壊滅的な被害をもたらしています。あまりの甚大さに、ニュースを見るのも(といっても入国が相当制限されているということで、思うように情報は入ってこないようですが)つらくなるぐらいです。とりあえず募金ぐらいしかできることがなさそうなのが心苦しいです。

2005年のハリケーン・カトリーナがまだ記憶に新しいのに、今度はサイクロンの被害。

b0069365_13233233.jpg激しくなる暴風雨は地球温暖化の影響か?と専門家たちの間で意見がわかれているということです

ところで、こういう話をする場合には、先日書いた「気候システムの破綻」の影響、という表現のほうがしっくり来るような気がします。GHG(温暖化ガス)は、平たく言うと、地球上に熱を余計に閉じ込めてしまいます。この余計な熱には気候システムを狂わせる力があります。熱=エネルギーですから、この余分な熱が、今までよりももっと激しくものを動かす力となってシステムを狂わせるというわけです。今まで以上に激しく大気が動いたり、空気中や地上で水が動いたり(風や雨の激化や時期の変化など)、ということですね。というわけで、温暖化(温度の上昇)というよりも、気候システムが狂っていることが問題なのです。

ではサイクロン・Nargisは温暖化=気候システムの破綻が原因なのか?となると、意見がわかれるのは当たり前といえば当たり前。自白もなく凶器もない、指紋も出ない。ただ状況証拠のみから外堀を埋めていくしかない・・・・という殺人事件に似ています。というのも、温暖化が風や雨の循環を狂わせるのが事実だとしても、他にもそれを変えてしまう原因はいろいろあります。温暖化がなくたって、巨大な天災はたびたび地球上で起こっていますよね。それらの原因ではなく、温暖化がカトリーナやNargisの一番大きな原因である、と特定しようとすれば、膨大な研究と頭脳を要するでしょう。

ただひとつ言えるのは、温暖化=気候システムの破綻が完全無罪、ということはありえないであろうということです。黒に近い白・・・・推定無罪はありうるでしょう。でも、完全に無罪ということはないと思います。であれば、何度も言うように「リスク・マネジメント」としてとらえたほうがいいのではないかと思うのです。温暖化が犯人かどうかを、状況証拠だけを積み上げて証明するには、膨大なエネルギーと時間が必要です。その時間と労力、少しでもリスクがあるのなら、それに対して予防策を講じる、という行動に使ったほうがいいと思います。

カトリーナやNargisの被害は、それぐらい大きいです。温暖化と関係ある、関係ない、と言い争いをし、双方で優秀な頭脳と技術を駆使して証拠集めをしてる間に、第三、第四のカトリーナが起きない保障はどこにもありません。そしてそれは、自分の住んでいるところに来るかもしれないのです。
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by kinky25 | 2008-05-09 12:49 | カンキョウの話。

バイオ燃料は悪者か?

遅かれ早かれこういう論争になると思っていましたが、予想以上に早く来たという気がします。

世界的な食糧価格の高騰に直面し、温暖化対策の切り札のひとつとして米国が主導するトウモロコシなどを原料とするバイオ燃料増産に批判の矛先が向き始めた。

b0069365_13314718.jpgバイオ燃料は、石油などと違い、カーボンニュートラルだと言われます。石油が地下深くに閉じ込められていた炭素を、CO2などの形で空気中にばんばん放出してしまうのに比べ、植物からとれる燃料は、もともと空気中にあった炭素を植物が取り込んだものをまた空気中に戻すだけなので、GHG(温室効果ガス)を増やすことにはならない、という論理。

私も、石油よりはいいかなとは思うのですが、いつかはこの壁にぶちあたると思っていました。

それは、生産工場・地球が、どう転んでも一個しかない、という壁です。

生産工場・地球は、拡大もできなければ第二工場をつくることもできない、私たちのたった一つの資産です。

そして、温暖化や生態系破壊が出している危険信号とは、「生産工場・地球はキャパオーバー!」という信号なのです。平均気温が上がったり、珊瑚が死んだりしているのは、その症状の一つ一つにすぎません。温暖化、熱帯雨林の破壊、珊瑚の死滅・・・・という症状をを一つ一つ解決しようとしたとしても、生産工場・地球がキャパオーバーである、という根本的な病気を解決しない限り、問題はなくならないと思います。そのひずみが、バイオ燃料に現れています。

生産工場・地球は一つしかないのに、人間は、その限界を無視して食糧を生産し、森林を切り開き、鉱山を掘り石油を掘り、宅地をどんどん広げ、工業製品を次から次へとつくり、道路をつくり、ビーチリゾートをつくり、ゴミの埋め立てをつくり・・・・・。あれもこれも、好きなだけいろいろなものをつくってきました。そして土地が足りなくなると、熱帯雨林を伐採したりしてさらにつき進みました。

次第に地球はキャパオーバーになり始め、あちこちに傷みが出てきました。土地の砂漠化、公害や汚染、生態系の破壊、温暖化などがその傷みです。それを解決しようと、今度はさらに土地を使ってバイオ燃料用の耕作地をつくり、CO2吸収のための植林を始めたところです。そしたら食べ物を作るための土地が足りなくなって、食糧の値段があがってしまいました。

さて、バイオ燃料は悪者でしょうか?

バイオ燃料が悪いんじゃないと思います。

過積載のトラックと同じ。過積載のトラックはいけませんが、積荷の一つ一つに責任があるわけじゃありません。積みすぎの状態の危険をちゃんと把握しないで、運転している運転手、さらにはそれをやらせている会社が悪いのです。

バイオ燃料は、積みすぎた荷物の一つにしか過ぎません。

地球を過積載の状態にしたのは、他でもない人間です。地球の積載用量をもう一回みんなで検証して、何をどれぐらい積むのが限界なのか今考えないと、手遅れになるという気がしてなりません。


注) 「生産工場・地球」というのはわかりやすい例えとして書きましたが、実際に地球には生産能力というものがあります。興味ある方は、Net primary productionという単語でググってみてください。
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by kinky25 | 2008-04-26 13:16 | カンキョウの話。

AB32: カリフォルニアの画期的なGHG削減政策

AB32 (the California Global Warming Solutions Act of 2006)は、2006年にシュワ知事がサインして発効した、アメリカで初、世界でも先進の温室効果ガス(GHG)削減を「義務づける」 法律です。AB32の下で、カリフォルニアは2020年までにGHGガスを1990年レベルまでに削減、2050年までに1990年比で80%削減することになります。

b0069365_7392888.jpg現在California Air Resources Board(大気保全局)が、AB32の規則づくりをしています。議会を通過する法案(AB=Assembly Bill やSB=Senete Bill)は、よりコンセプチュアルなものなので、それを実施するための細かい規則や情報が必要です。それをつくるのが省庁の仕事。2012年の実施をめざして、ARBがしゃかりきに規則づくりをしているところ。

当たり前だけど、こういう問題を法律にするのは難しいですよね。法律にするということは、それを守らない人に罰則を与えないといけないってことなので、あまりに過激なことはできません。

で、何が起こっているかというと、「テクノロジーとイノベーション」、そして「ローコスト」でGHGガスを削減する!というところに議論が集中している現状です。平たく言えば、「なるべく楽してGHガスを削減するにはどうしたらいいか」ということ。繰り返しになりますが、守らない人には罰則を与えないといけないので、「あなたは○トンへらしなさい」ということは、おいそれとは言えないわけなのです。

でもそれにしても、先日書いた「洗濯物を干さないアメリカ人」に通じるところがあるなあ、と思うj事態の成り行きです。

日本の環境庁が京都議定書を守るために、環境庁のビルのエアコンを極力使わないようにして、職員は汗みずくになりながら仕事をしている・・・・というニュースがありましたよね。旗振り役が率先してがんばりを示さないと、という考えもあったと読んだ覚えがあります。

その成果のほどはともかく、これってよくよく考えると、「どうにもならなくなったら、自ら苦労してがんばっている姿を見せることで、みんなにもがんばってもらおう」という、昔ながらの精神論的な仕事観のなせる業ではなかったのでしょうか?契約を取るために土下座するとか、飲めない酒を飲むとか、サービス残業とか、そういう自己犠牲的な仕事の仕方に通じるものがある気がします。

これはアメリカでは絶対はやらないスタイルです!「自分が」「我慢して」「がんばって」「汗水たらして」温暖化対策????何で私がそんなことしないといけないの??テクノロジーがあるでしょうがテクノロジーが。

とまあ、こういう感じでしょう。

アメリカは何でもテクノロジーで解決できる、と考えすぎているきらいがあります。さらに、「我慢」「面倒なこと」が大嫌い。これがどうAB32に反映されてくるか。

ある程度まではテクノロジーで削減できると思います。現状、エネルギーのムダ遣いがとても多いので。問題はそのムダを削減した後です。

2050年に1990年比80%削減は、テクノロジーだけでは無理だと私は思いますが・・・・大きな声では言えません。


うーんと、中ぐらいの声でぼそっと言ってみる機会をうかがいたいと思います。誰か聞いてくれるかな?
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by kinky25 | 2008-04-05 07:33

温暖化がスピード進行するカリフォルニアと西海岸

カリフォルニアを含むアメリカ西海岸では、地球平均よりも早い速度で温暖化が進行している、という調査結果が最近発表されました。2003年から2007年の5年間、世界の気温上昇の平均は、20世紀平均と比べて華氏1度だったのが、西海岸11州ではなんと1.7度。2倍近い数字です。

ところで、排気ガスによる空気汚染などは、局地的ですよね。例えば東京を上から見ると、環七の上空が丸く濁っている、と言われたり、LAのスモッグが有名になったり。それに対して、温暖化の場合は、石油採掘現場である中東や石炭をほる鉱山の上だけ気温が激しく上昇する、というようなことはありません。

なぜでしょう?

気体(分子)にはそれぞれ寿命があります。ある程度の時間がたつと、手をつないでいた原子どうしが手を離してしまい、分子がこわれてしまうのです。排気ガス(NOx、SOxなど)は数時間、数日といった長さでこわれていくものが多いため、影響が局地的なのです。

しかし、CO2やメタンは数十年~百年という寿命。非常に安定した分子で、なかなかこわれません。そして空気中や水中(海とか)や植生物の中をぐるぐるめぐりながら拡散していくため、地球全体でほぼ一定の濃度になるのです。

b0069365_5231440.jpgなのにカリフォルニア(厳密には南CALの内陸部)やネバダ、アリゾナなどでは温暖化がスピード進行していると?

これはやはり元来砂漠気候だからでしょうね。同じように温暖化が進行しても、西海岸にはふりそそぐ熱の威力をやわらげてくれるものが少ない。やわらげてくれるものとは、緑であれ湖であれ、要は水分です。西海岸にはもともと水は豊富ではありません。今南カリフォルニアが栄えているのは、コロラド川などから水を輸入しているからです。そういった灌漑の努力がなければ、乾いた大地がどこまでも広がっているような土地。

熱がふりそそぐ状態に対して、それを緩和する手立てがない。やはり温暖化に対して脆弱だといえるでしょう。あまり知られていないかもしれませんが、2005年の熱波では、Central Valleyでたくさんの家畜が熱のために死んでしまいました。

また、水資源も問題になってくるでしょう。現在コロラド川は旱魃の時期に入ってきており、この水系の二大貯水湖であるLake PowellとLake Mead,の貯水率はそれぞれ45%と50% にまで落ち込んでいるそうです。Los Angeles, San Diego, PhoenixやLas Vegasなどの大都市が、コロラド川からの水に頼っています。

政府のお役人はどこでも「温暖化対策と経済成長は両方実現できる」と言っていますが、そんなのはきれいごと。Central Valleyの家畜被害とか、水の問題とか、現実のリスクはもっと具体的にいろいろな分野に広がってきているのです。そして西海岸ではその被害がよそより大きい可能性が高いのかもしれない。このあたりをどうリスクマネジメントするのか、そろそろちゃんと考えていかないと間に合いません。

photo by StuSeegerb0069365_5244821.jpg
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by kinky25 | 2008-04-01 05:08 | カンキョウの話。


筆者: 環境庁勤務・一児の母。 生息地: カリフォルニア・サクラメント。  ブログについて: サイエンスとトレンドを融合した、わかりやすいエコ・温暖化・サステナビリティ。コメント歓迎です(除く営業)


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