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本当にエコな箸とは?

質問を頂きましたので今日は間伐材と割り箸の問題について。

森というと「自然」と思いますよね。

でも、手付かずの自然の状態で残っている森林と、植林した人工の森林は実は全然違います。自然は、自分の力でその場所に生える植物の種類や大きさ、本数、組み合わせを最適化する力を持っていますが、人工の森林にはそれがないのです。人間が、自然のバランスを無視して、自分たちの都合で植える種類や本数を決めてしまうためです。そういう森は、もろくて弱いため、森としての機能を十分果たせず、長生きできません。

b0069365_14305021.jpg間伐が問題になっているのは、建築材として使うために植林をした森です。建築材として使うために木を植えたのに、輸入木材に価格競争で負けてすたれてしまった。そのため、木は育ったものの、手を入れる余裕がなくなり、放置されてしまったのです。

以下引用:なぜ間伐は必要なのでしょう。初めから木と木の間を空けて植林すれば間伐の手間が省けるのに、なぜそうしないのでしょう。それは、人工林の主な使用目的が建築用の木材であるためです。木は間隔を空けて植えると、建築に適した材木用の真っ直ぐな木が出来づらいため、ある程度生長するまでは密集した形になるように植林しているためです。それが輸入材によって国産の木が使われなくなり、間伐が行われず荒れてしまったのです。

間伐を支援しなければ日本の森は荒廃します。

間伐を支援するためには、資金が必要です。間伐がお金になるような仕組みがなければ、そのために働いてくれる人がいなくなるのですから。

そういうわけで、「割り箸をやめて自分の箸を持とう(どうもマイ箸という言葉は好きじゃない)」という流れができたとき、「ちょっと待った。割り箸は間伐材を活性化してくれる大事な製品なんだ」という声があがったわけです。

その結果、間伐材=割り箸 対 使い捨てじゃないお箸

という図式ができあがってしまい、割り箸=反エコ?むしろエコ?という混乱が起きたというわけです。二つの問題がごちゃまぜになってしまったのですね。

間伐を支援・促進しないといけない。という問題と、使い捨てはよくない。という問題。

これはわけて考えないといけません。

まず、間伐の支援は非常に大事ですが、間伐材からつくる製品は、割り箸である必要はありません。もちろん、もともと間伐材は質の悪い材木であり、あまり高品質の製品が期待できないという背景があります。だから割り箸だったのでしょう。そうはいえ、みんなで知恵をだせば、使い捨てじゃない製品を生み出すことができると思います。実際問題、少し調べてみたら、みなさんいろいろな製品をつくろうと努力されているようです。

使い捨ての問題については言うまでもありません。何度も使える製品のほうがいいです。じゃあプラスチックはどうなのか?という問題まで入れると今回の話はややこしくなってしまうので、こう考えましょう。

予算500円で、お箸を買うのにエコな選択はどれ?

理想は、サステイナブルな森林管理が行われている国内の森から切り出された、長く使える木材でできたお箸。・・・・なんてところでしょうか?でももしかしたら500円じゃ買えません。それとも逆に、割り箸を何度も使うか。・・・・これは間違いなく流行りませんな。

じゃあとりあえず200円で手に入る箸を買って、あとの300円は間伐材を促進するために寄付(そんな小額受け付けてくれるかはおいといて)。

回答はひとつじゃないし、完全な正解もないと思いますが、いろいろなシナリオを考えてみることが大事だと思います。
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by kinky25 | 2008-05-23 14:22 | カンキョウの話。

土地と食糧の争奪戦が始まった。

Peak oil、危ない中国野菜、アジアのコメ騒動、などきな臭いニュースが増えてきたなと思っていた矢先、こんな記事を見つけました。

アメリカでも、ビジネスチャンスとばかりにバイオエタノール用のトウモロコシ栽培などに切り替える農家が増えたことと、BRICなど、人口の多い新興国の生活水準があがって世界的な食糧への需要が高まったことで、穀物の値段は上がる一方です(日本ほどではないにしても)。

b0069365_1403778.jpgそこで、農家の人たちが「休耕地」をどんどんつぶして畑に戻し始めた、というのです。この場合の休耕地とは、自然の生態系を守るために、耕さないことによって政府から保証金を受けている土地のこと。このプログラムは25年ほど前に始まって、各地で自然回復のために役立ってきたそうです。それがここにきて、今まで休耕地にしていた農家の半数が、「やっぱり畑にします」と休耕地の契約を解除。

環境保護派と農業推進派の間で、なにやら緊張が高まっているようです。

食べ物が手に入りにくくなっているのに、野生を守れも何もあったもんじゃないだろう。自分たちの食い扶持を確保するのが先じゃないか?

推進派とすればそう言いたいところでしょう。

まあねえ。自分たちが飢えてまで自然を守らんでも。

・・・・そうなんでしょうか?

エコシステム・サービスのことを、忘れてはいませんか?

エコシステム・サービスとは、生態系が種の多様性を保つことによって、生産力やきれいな水、災害への強さ、などのサービスを地球に提供してくれることを言います。

畑も自然の一部のように見えますよね。でも、畑と自然の大きな違いは、畑はモノカルチャーであるということです。通常は1,2種類の同じ穀物や野菜しか栽培しません。言ってみれば、クラス全員が野球部員、のようなもの。

それに対して自然は、文化部もいれば野球もサッカーも空手も、マイナーだけどマンドリン部とか、帰宅部とか、非常に多様なのです。

さて、この2クラスが対抗試合をしたとします。畑チームが圧倒的に有利なのは野球の試合だけです。野球だけはものすごい勢いで勝つけど、他のもので勝負しないといけなくなったら、サッカーも絵も音楽もアニメも、からっきしダメ。

これが畑=人間が手を入れた自然のもろさ、弱さなのです。そういう土地は、火事やバッタや病気の発生、大雨、旱魃などに弱い。いったん大打撃を受けたら、元に戻るのに時間もかかります。つぶしが利かないのです。一方、自然の多様性は、火事に強い種、雪に強い種、雨に強い種、などを土地の気候に応じてバランスよく配置しています。なのでこういう災害時にも、必ず1つとか5つとか生き残る種があり、命をつなげて、また生態系を元に戻していくことができるのです。この力を生態系のResilienceと呼びます。

そういう強い生態系を残していくことが、長い目で見れば自分たちを救うことにもなるのですが、目の前の食糧高騰の前には、そんな悠長な決断ができる人は少ない、ということです。

これからは、世界各地でこういうことが起きてくるでしょう。

せめて残飯や食糧の売れ残りを出さない暮らし考えるところから始めて、まじめに取り組まないと(いまだに先進国では残飯がゴミの20-30%を占めると思います)、私たちの子孫の未来は本当に厳しいものになると思います。
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by kinky25 | 2008-04-12 13:51 | カンキョウの話。

南カリフォルニアの山火事は昔により頻繁になったのか? - fire ecology Part2 -

昨日は、「西海岸の森は、数十年に一回の山火事を前提に構成されていて、山火事を経ながら健康や均衡を保っている」ということを書きました。この、生態系と山火事の関係の総合的なパターン(火事のタイプや規模、頻度、森の焼失面積や焼失度合いなど)のことを、fire regimeと言います。

ところで、南カリフォルニアでは2003年にも未曾有の大きな山火事がありました。まだ記憶に新しいと思います。それに、2003年から今起こっている山火事の間にも、もっと小さな規模で毎年のように火事のニュースがありました。これって、山火事が以前より頻繁に、大規模になっているということなのでしょうか?それともまだ、今までどおりのfire regimeの範疇なのでしょうか?今後はどうなるのでしょうか?

諸説があります。「増えているし、ひどくもなっている。」「いや、今までと同じである。想定の範囲内。」科学者たちが、喧々諤々研究と論争を繰り広げているところです。ではまず、「火事が頻繁に、大規模になっているとすれば、それは何が原因なのか?」についてみてみましょう。これにも諸説があります。例えばfire suppression。Land use。それから地球温暖化。

まず、fire suppression(消火、防火活動、計画的な野焼き)が次の火事を大規模にする、という意見について。私はEcologyのクラスで山火事のことを知るまでは、「火事=ダメージ=一刻も早い消火が必要」と思い込んでいましたので、「消火が火事の原因になる」という可能性については考えてもみませんでした。
もちろん、「火事=ダメージ」という方程式は、人間社会にとっては100%Trueです。でも昨日書いたように、山には定期的な火事が必要。なんとニーズが完全に逆転しています。これが、「消火活動が次の火事のリスクを高めてしまう」、というねじれ現象をうみだしてしまうのです。

b0069365_1562586.jpgそもそも「森は火事を必要としている」ということは、150年ほど前、開拓時代にヨーロッパ人が西海岸にやってきたころには誰も知らなかったし、彼らは自分たちの身を守るために、切り開いた森から火事を減らさなければなりませんでした。一番手っ取り早く効率的だったのが、森をGrassland(草原)に変えて牧畜をすることでした。(単位面積当たりにあるfuel(燃えやすいもの)の量を考えたら、草原のほうが火事になりにくく、火事の規模も小さい、ということが想像できると思います)こうして、多くの森が草原になりました。そして森にはfuel (燃えやすいもの)が予定以上に残りました。

また、いったん起こった山火事に対しては、「消火活動」が行われるようになりました。消火活動は、「数十年に一回の山火事」が燃やそうとしていた範囲が全部燃やし尽くされる前に火を消し止めてしまうので、予定より多くのfuelが、次回の火事に繰り越されることになりました。

まとめると、消火・防火活動は、図らずも森の中にあるfuelの量を増やしてしまう。それが、次に起こる火事の規模をよりカタストロフィックにしてしまうという、ということになります。

ここまでだと、「じゃあ消火・防火はしちゃいけないのか?」と思われてしまいそうですが、そうではありません。

次に続きます。

Photo source: http://forestfire.nau.edu/grazing.htm
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by kinky25 | 2007-10-27 14:08 | カンキョウの話。

なぜ南カリフォルニアに山火事は起こるのか? -fire ecology Part 1-

ニュースはまだまだ南カリフォルニアのWildfireで持ちきりです。だいぶ鎮火の方向に向いてきたとはいえ、まだまだ猛威をふるっているところもあるということで心配は続きます。多くの方が家を失い、まだ避難されているのですが、南カリフォルニアのWildfire(山火事)についてもっと知っていただきたいので、fire ecologyのことを少し書きます。多分長くなるので3回ぐらいにわけて。

今回の火事は放火も含まれるということですが、人間が火種を提供しなくても、西海岸の森では定期的に山火事が起こります。元来乾燥した場所ですから。場所、高度、気温、降雨量、木の種類などいろいろな要因が組み合わさって決まるfire interval(大規模な火事が起こる間隔)は、西海岸の生態系では数十年であることが多いようです。

西海岸の森々は、「数十年に一回、全てを焼き尽くすぐらいの大きな火事がある」ことを、何百万年分の経験から学び、システムにインプットしています。そして、気の遠くなるような年月をかけて、「どうしたらその火事から効率よく立ち直れるか」を試行錯誤の中で探してきました。それが現在の(人間が手を入れる前の)森や林の姿です。こういう火事のことをnatural disturbanceとい言い、生態系がそのdisturbanceからどれだけ効率よく立ち直れるか、という強さをresilienceと言います。

何百万年に及ぶ地球システムのQAは、山火事からプラス要因を引き出す技さえもあみだしました。実は、森や林にとっての山火事は、全部が焼き尽くされてゼロになる「ネガティブ要因」だけではないのです。森や林は、山火事から恩恵を受けているのです。全てが灰になるのに、メリットなんてあるの???と思われるかもしれませんが、これがあるのです。
例えば、空気中の窒素やリンが、火事によって土壌に取り込まれ、養分になる。地面に降り積もった灰で、地表の温度が上がる。木の病気や害虫が駆除される。ある意味年末の大掃除のようです。これらのおかげで、火事のあとの「再生」は、健康的かつ効率的に進みます。

また、生態系にいろいろな種類や状態があるように、山火事にもいろいろな種類があります。地面近くを這うように燃えるものもあれば、高い木々の枝を縫って燃えるものもある。当然、地面近くの火事が燃やすものと、高いところの火事が燃やす植物は違います。その妙なる組み合わせによって、火事は森をリニューアルすることもできるのです。例えば、大きく生い茂りすぎている木のおかげで、下に生えている草には日光も当たらないし水や養分も十分に回らない、などという状況は、この大きい木が燃えることによって変わります。

さらに、山火事のもう一つの大きなメリットは、「時々大きな火事が起きることによって、森の中の「燃えやすいもの」の量をコントロールできる」ということです。大きな火事がしばらく起きないと、木は生い茂り、地面は枯れ枝で埋まり、草が生え・・・・。燃えやすいもの(fuel)がいっぱいになってしまいます。この大量のfuelは、次に起こる火事をカタストロフィックな大火事にしてしまう可能性があります。定期的な山火事は、森の「燃えやすいもの」の量を、適量に保つ役割を果たしてきたというわけなのです。

b0069365_13475970.jpgここで終わると山火事を賛美しているように聞こえてしまいますが、それが結論ではありません。
Stay tuned! 次に続きます。

火事に最適化してしまった植物もいます!ワタシ、火事が起きないと次の世代を生み出せないんです!


Source: http://www.cnr.uidaho.edu/range456/hot-topics/fire-ecol.htm
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by kinky25 | 2007-10-26 13:32 | カンキョウの話。

California Native plants

南カリフォルニアでまた大きな山火事が起こっています。なんと53万世帯が非難しているというので心配しています。南カリフォルニアにお住まいのみなさんはいかがお過ごしでしょうか。今シーズンは記録的な降雨量の少なさだと聞きました。また、ジョージア州アトランタでは、旱魃と水不足。温暖化の足音がひたひたと聞こえてくるようです。

水、水、水です。

温暖化でこわいことの一つが、まさにこの水です。世界5,6位を争う経済ブロックにして世界の穀倉地帯、独立してもやっていけるぐらい強大なカリフォルニアの唯一のアキレス腱もこの「水」だと思っています。もともと砂漠ですからね。80%をコロラド川などから「輸入」している上、州内の最大の水源、シエラネバダの雪解け水が、温暖化の影響で激減すると言われています。

う~ん、どうなるのでしょう。

日本は多湿多雨だから、庭で毎日スプリンクラーを回すということはあまりないと思われるのですが、カリフォルニアはどこでもかしこでもスプリンクラーが回っています。全部足したらすごい量の水です。もしスプリンクラーを止めてしまったら、マカロニウエスタンの映画みたいな状況に戻るんでしょうね、多分。現在は、輸入した水を撒いて無理やりあおあおとした庭をつくっているわけで、ぶっちゃけ環境負荷がかなり高いと思われます。

・・・とロジカルに考えたわけではなく、何を植えても失敗した庭に、「不精で水をちゃんとやらない私にも育てられる植物」を探していたら、行き着いた先がNative plantsでした。ほとんどのカリフォルニアNative plantsは、根付くまである程度の水をあげたら、その後はほとんど水をやらなくても大丈夫なのだそうです。もちろん最近の水にまつわるニュースを見るたびに、特にカリフォルニアに住んでいる以上は節水に気をつけないと、と思っているので、一石二鳥なのです。

b0069365_14134577.jpgb0069365_14144662.jpg
















でも考えてみたら当たり前なんですよね。その土地に土着の植物が、その土地に一番適応しているわけだから、乾燥したカリフォルニア土着の植物は、乾燥した状態で十分生き延びれる種類なはずなのです。人間が「お世話」なんてしてさしあげなくても、その土地でちゃーんと自分の力で根を張れる植物たちなのです。

b0069365_14223148.jpg家の裏を鮭が帰ってくる川、American Riverが流れているので、除草剤なども一切使いません。(一軒の影響なんて小さいですけどね)水を最小限に、薬もなしで、というニーズには、Native plantガーデンが最適じゃない!と、悦に入っている今日このごろです。

こちらでは庭にGrassやGroundcoverをよく使います。草っちゃあ草なんですが、Grass、味があってすごく面白いです。かわいいものが苦手な私にはお花より合っているかも。
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by kinky25 | 2007-10-24 14:16 | カンキョウの話。

四角いアタマを丸くする。(古っ!)

先日行ったサンディエゴで、またまたゴミ埋立地(Landfill)ツアーに参加しました。巨大なLandfillで、土地のバカ高いサンディエゴですごいなあと思いつつ、もはや野外工場とでも呼ぶべき大がかりなリサイクル活動を見学しました。

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ここはいろいろ問題のあった施設だそうで、その一つが、この場所がたくさんのNative species(土着の種)の生息地であったこと。その中には、Endangered Species(絶滅危惧種)も含まれているということで、Landfillをつくった後もずっとRestoration(回復)のための活動がいろいろ行われています。ちなみに、サンディエゴにはカリフォルニアでもトップを争うたくさんの数の絶滅危惧種がいるそうです。

このRestorationを促進するために、このLandfillにはなんと専任のBiologist(生物専門家)が雇われていました!環境庁で働き始める前は、ゴミの埋立地でのお仕事、と聞いても、ゴミ収集車を誘導したり、掃除をしたり、とそれぐらいしか思いつきませんでした。我ながら想像力ないな。でも、埋立地にBiologist。なんてクリエイティブなんでしょう。

b0069365_48013.jpgb0069365_491040.jpg生態系と一言に言っても、それは土地土地で大きく違います。家々と言っても個別の家の中身や住人が全く違うように、一つの生態系は私たちが思うよりずっと小さな半径で独自性を保っています。このBiologistは、この土地の生態系を知り尽くしています。その上で、もともとあったNative speciesの生息地を戻そうとしているわけです。それは例えば、埋め立てが終わったLandfillの区画の上に、Native plantsを植えることであったりします。なのでこのLandfillには専用の苗木コーナーがあって、彼が全部それをタネから育てているんです!おもしろいことに、野生のタネは、例えばリスや鼠などの小動物に食べられて、おなかの中を通って出てくることによって発芽しやすくなる、などの特性があるそうです。彼はそういうのを全部知っていて、電子レンジでタネを温めたり、いろいろな方法を駆使して自然の状態に近い環境をつくろうとしているのです。そういうテクニックは、生物学の基礎に経験をブレンドして培われたものなんですね。ここにもあった、匠の技。

先日、Ecosystem Servicesの話をちょっと書きました。我々が野菜や魚を食べられるのも、気がつかないところでいろいろな生物がこまごまとした仕事をしてくれているからだ、と。でも、今のところ、経済のしくみにはこのEcosystem Servicesにお金を払って保全する、という機能がありません。これは大問題です。サービスがどんどん劣化しているのに、手をこまねいてみているしかないんですから。

でもこれからは、LandfillがBiologistを雇う、というような柔軟な発想で、Ecosystem Servicesを守る人たちの雇用を拡大することが必要だと思います。アメリカはこういうところが柔軟でクリエイティブだと思います。拍手。ただ、今のところ経済にはその仕組みがないので、これはまずはお役所の役目でしょうね。(このBiologistも郡か市の職員です)お役所のみなさん(あ、私もでした・・・)、アタマを柔らかくしてあたらしい形のエコ雇用をどんどんつくってください。ダムなんか要らないから、そういう公共事業をやってほしいなあ。
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by kinky25 | 2007-10-20 02:03 | カンキョウの話。

ワンガリ・マータイさん!- Born to Empower -

2004年ノーベル平和賞受賞者・ワンガリ・マータイ(Wangari Maathai)さんといえば、日本ではもったいない=Mottainaiを再発掘してくれた人としておなじみかと思います。サクラメントのような辺鄙なところに来てくれた!というので講演を聞きにいってまいりました。

b0069365_1359458.jpgいや~おっそろしく頭のいい女性です。そして強くてたくましく、笑顔を絶やさない。白い歯がつねにこぼれていました。ここまで来るのには、想像を絶するような困難がたくさんあったと思うのですが、微塵も感じさせない懐の深さというか、包容力というか・・。人を包みこむようななんとも泰然自若とした余裕。でっかい人だ~・・・・・。正座させられて叱られたいくらいです。

ものすごく頭がいいと思うんですが、難しい話は一切しませんでした。中学生でも全部理解できたと思います。でも、核心は外さず、メッセージはあふれ出るオーラのごとく聴衆にしみわたってきました。本当に頭のいい人って、難解なテーマを何の無理もなく「やさしい話」にできちゃうんだな~と感心。

Empower という言葉がありますが、彼女はまさにEmpowerできる人・・・人に力を与える力を持っている人 。あ~こんなところで毎日ぐだぐだやっている自分を反省。何かせにゃ。とりあえず明日から何かやろう・・・・木を植えよう。みんながそう思いながら家路についたことでしょう。ポジティブなオーラの出ている人って、同じ空気を共有できただけでテンション・モチベーションがあがります。会えてよかったわ~。

ところで、2005年だかに日本に来ているマータイさん。気に入ってくれたのか、日本でのエピソードを3つばかりしてくれました。Mottainaiの話もありました。ちょっとうれしかったです。

お話の中には、いくつか書き留めておきたいことがあったので、別記事にて。
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by kinky25 | 2007-09-22 14:15 | カンキョウの話。

一寸の虫にも島国根性。

地球システムと生態系の話、大きすぎてなかなな終われなくなってしまいました。まとめるのが非常に難しいです。でも、始めたからにはどこかで〆たいのですが、今日はちょっと脱線。

私、今アメリカで働いております。その前はアメリカで学校に行きました。さらにその前は日本に住んでました。で、日本に住んでるときは、自分のことを国際人(笑)だと思っていました。日本人以外の人とのコミュニケーションは得意なほうだと。

b0069365_1402147.jpg大きな間違いでした。六本木にいる外人や、会社にいるエクスパッツたちが「外国人」だと思って、それを基準に考えてた。ああ勘違い。アメリカに住んでみて、彼らがいかに特殊な人たちなのかを痛感したのでした。彼らは、日本に住んでいる、という時点で、日本に興味があるか、日本に接点があるのです。でもそれって、アメリカにずっと住んでて、そこで完結している人たちの中では超、超少数派です。多くのローカルの人々は、「日本出身のアジア人」に1ミリも興味がありません。「差別」ともまた違う気がします。興味がない=関係ない=対象外。という感じ。もしかして私のこと見えてない?と思うこともあります。

この「無関心」の空気と闘うのはけっこう気力が要ります。自分のセールスが大変。仕事を始めてしばらくは体力的に全然余裕がなかったので、すっかり「もまれ弱い島国根性」を発揮して、じーっとしておりました(笑)。やっとペースに慣れてきたので、そろそろネジを巻かんとあかんと思っています。でもやっぱり基本的には、自分を売り込むのは大嫌い。そんなことじゃこの国では生き残っていけないかしら?

実は、この「島国根性」、生き物にもあるのです。

日本のように、まわりを海に囲まれて、外からの脅威が少ない環境にいると、そこに住んでいる生物は、だんだんおっとりおとなしくなっていく。攻撃力や抵抗力も、サバイバル能力も低下する・・・・だってそんなもの必要ないから。外からの侵略が少なければ、勝手知ったる自分たちの庭で、知ったもの同士仲良く平和に暮らしていればいいのです。めでたしめでたし。

それに対して、大陸の生物たちはたくましいです。陸続きであれば、他の生物や病原菌や、いろいろな脅威がどこからともなくやってきます。それに打ち勝って、勝ち残っていかないといけない宿命なのです。もまれて強くなるわけです。

生き物と人間、おんなじですね。同じアジア人でも、大陸の方々はやっぱりたくましくて、見習わないと・・・と思う反面、私にはできないな~と感じたりして。

「外来種」の問題、最近よく耳にしますが、そんなわけなので日本は一段とリスクが高いです。外から強いヤツらが突然やってきても、日本の固有種たちは、今までそんな脅威を迎え撃ったことがないわけですから。ブルーギルだとかが異常に繁殖するような状態に陥ってしまうわけです。日本の種たちは、大事に守ってやらないといけない「箱入り娘」なのかも。
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by kinky25 | 2007-09-19 13:56 | カンキョウの話。

Ecosystem Services その2 生態系?生物多様性?

昨日は、「原料が一定でエネルギーが一定」と書きました。だから、製品である食べ物も、一定以上できようがない、と。

しっくり来なかったかもしれません。だって、例えば農業を考えてみると、生産高や生産効率はどんどんあがっています。昔は毎日食べれなかったお米が、今は毎日食べて、さらに捨てるほど生産されています。肉だって果物だってそうです。さらに、今は世界中どこで作った食べ物でも手に入れることができます。これは、一定以上できている、と言えるのでは?

確かにそうです。どうしてでしょうか?なぜ、原料が一定しかないのに、そこからできてくる製品がどんどん増えているのでしょうか?

b0069365_13381849.jpg仮に、原料である原子(多くは分子の形で存在します)が、地球上に一定の密度でばらまかれているとしましょう。海にも、熱帯雨林にも、草原にも、湖にも、砂漠にも、雪山にも、完全に平等に。

みなさんなら、どこに畑をつくりますか?もちろん、緑の部分-熱帯から温帯にかけての地域を選ぶのではないでしょうか。なぜ?作物がよく育つから。

上の図、あまりうまくできていませんが、緑色が熱帯から温帯、青は海や湖、茶色は砂漠のイメージです。黄色く塗られている部分が、「生物がたくさん住む地域、作物がよくとれる地域」です。黄色の部分、一定じゃないです。私たちが畑を作るのに選んだ地域が濃くなっています。

ということは、原料が一定なのに、そこからできる製品の量が、地域によって違う、ということになります。地球はちょっと傾いている、と学校で習いました。そのため、当たる日光の量が場所によって違います。その違いは、温度の違いや降雨量の違い、はたまたそのせいで起こる地形の違いとなります。その違いが、地球という工場の「作業要員」である生態系の豊かさを決めます。作業要員の多い地域-熱帯や温帯は、大規模な工場と化し、ものすごい勢いでいろいろな生産活動を行っているわけです。光合成から窒素固定から、何から何まで。

反対に、温度が低すぎたり、雨が少なすぎたりする場所には、作業要員をたくさん配置することができません。そういう厳しい環境に適した種だけしか生き残れない環境なので。それでも、与えられた環境で最大限の生産量を実現すべく、地球は適材適所、最適化を推進し、砂漠にはサボテンやガラガラヘビを配置したりしているわけです。

地球は、世界中に工場をはりめぐらし、作業要員の量や種類を調整しながら、一定の原料と、一定のエネルギーを使って、全体でその生産量が最適になるように日々進化している。おそろしく複雑なシステムです。このシステムの中では、生態系に属する生き物は、複雑にからみあい、関係し合って最適な環境をつくりだしています。Biodiversity(生物多様性)の話を前に書きましたが、なぜ生物多様性が大事か、なんとなくイメージできてきましたでしょうか。生物が多様=作業要員が豊富、ということなのです。営業もマーケもSEも受け付けも・・・あ、社長も必要ですかね?いろいろな役割を果たす要員がいて、成功している会社のように。

これだけの役者を揃えている地球は、自力で改善を続けていけるわけです。

でもここで、人間の登場です。

人間は、太陽エネルギー以外のエネルギー源を発見し、それを使って、CO2を撒き散らしながら、生態系以外の作業要員をつくりだしました。人間の世界の「工場」や「農地」などです。それは、とりあえず地球という工場よりもずっと生産効率がよかったので、人間はどこにもかしこにもそれを作りました。その結果、地球はモノも食べ物も豊富になりました。でもその陰で、ひっそり、粛々と生産活動をしていた生態系が、世界中で踏みつけられ、壊されていきました。中にはもう元には戻らないものもたくさんあります。

エコロジカル・フットプリントのペタは、このようにして生態系を「踏みつけた」ペタです。この代償は大きいです。Ecosystem servicesの内容を、イメージしてみてください。

もう少したったら、車は生産できるけど、きれいな飲み水や、魚の住む海はない。とか、山は大雨を吸い込まないで全部土砂崩れになる。とか、都会はスコール・冠水との戦いになる。とか、そいういう時代になっていくかもしれません。
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by kinky25 | 2007-09-18 14:05 | カンキョウの話。

Ecosystem Serivces - 地球はどうして生産キャパオーバーなのか

先日のエコロジカル・フットプリントですが、やっぱり「地球の生産能力はキャパオーバー」という部分のほうが大切なので、それを先に書きとめておきたいと思います。

b0069365_1391020.jpg「生産」、と聞くと、工場を思い浮かべます。「工場」とは?「原料」を調達してきて、それを使って「製品」をつくるところ、です。

もっと言うと、「原料」だけでも製品はできません。原料を加工しないとだめです。加工するためには、エネルギーや、化学物質や、水なんかが必要です。そして実際に作業する人。さらに細かく言うと、もっと色々なものが、実際の工場にはありますよね。プロセスを制御するコンピュータや、フォークリフトや、空調や、その他もろもろ・・・・。

洗練された工場だと、すごく複雑な仕組みになっていると思います。



b0069365_14512213.jpgでは地球(生態系)の場合はどうでしょう。出てくる「製品」は、わかりやすく食べ物を考えてみます。地球(生態系)を工場としてみると、食べ物の「原料」「エネルギー」「作業要員」に当たるものはなんでしょう?

「野菜」の原料って何?種?土????作業要員は、農家の人??「牛」の原料は?当たり前に答えられるようで、改めて考えると言葉につまります。






b0069365_1465724.jpgそれでも、一番答えやすいのは「エネルギー」でしょう。答えはもちろん、太陽エネルギー。太陽は、地球がInputとして受け取る唯一のエネルギー。逆に言うと、地球に入ってくる太陽エネルギーの量を基本にして、地球の生産キャパシティは設定されています。

では、「原料」は?食べ物を食べてできた自分の体の中に入っているものを考えてみると・・・・。脂肪や、血管や、血液などの体液、皮膚、髪、爪・・・。それらをどんどん分解していくと、最後には、化学で習った元素記号になります。C(炭素)、N(窒素)、P(リン)、Fe(鉄)・・・・。原料は、原子だった??

他にもCa(カルシウム)などいろいろありますね。ところで、よく考えてみると、現代ではこれだけサプリが発達しているのに、なぜ「窒素」のサプリがないのでしょう?結局私たちが食べているものは元素なんだから、食事のかわりに原子を摂ることにすれば、効率もいいし畑や海も使わないですみますよね。しかも、学校で習ったことを思い出してみると、窒素(N2)は、空気中に一番多く含まれている元素でした!だからサプリも要りません。呼吸すればいいだけ!

なぜ、それができないんでしょう??

実は、人間は、N2という形の窒素を摂取することができません。これができるのは、細菌などごく限られた種だけなのです。窒素固定(Nitrogen fixation)といわれるこの活動ができる種は、取り込んだ窒素を、今度は違う分子につくりかえて、食物連鎖の上の生物たちに渡します。その窒素は、さらにその上の生物にとりこまれ、ちがう分子につくりかえられ・・・・長い旅を経てやっと人間の食べられる形になり、「食べ物」という「製品」になるのです。

というわけで、この図の「作業要員」に当たるのは、「生態系」ということになります。彼らは自然界にただぼんやりと生きているわけではなく、いろんな役割を与えられているのです。彼らがその役割を粛々とこなしているおかげで、我々人間は「窒素」を「食べ物」として摂取できるのです。他にも、水をきれいにしてくれたり、死んだ生物を分解したり、地球が生産活動を続けるために必要な仕事が、ちゃんとさまざまな生物に与えられています。

これらの役割を、Ecosystem servicesと呼んだりします。このサービスは、今まで「タダ」「当たり前」と考えられて、あまり大事にはされてきませんでした。注目を集め始めたのはやっと最近のことです。なぜ注目を集め始めたかというと、このサービスが劣化し始めたからなのです。「原料」「エネルギー」が一定で、「作業要員」が減ったら、どうなるか?そう、できあがってくる「製品」が減ってしまう!それで人間は急にあわてているわけです。

人間がやっている工業活動、特に温暖化の助長は、確実にこのEcosystem Serviceに影響を与え、「作業要員」を減らしつつあります。このままつき進むと、激減のおそれもあります。だから自分のエコロジカル・フットプリントを把握して、それを小さくする努力をしよう、というわけです。それが「作業要員」の保全につながり、自分たちの身も守ることになるわけです。

この話はスケールが大きいので時間がかかりますな。次に続きます。
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by kinky25 | 2007-09-16 15:09 | カンキョウの話。


筆者: 環境庁勤務・一児の母。 生息地: カリフォルニア・サクラメント。  ブログについて: サイエンスとトレンドを融合した、わかりやすいエコ・温暖化・サステナビリティ。コメント歓迎です(除く営業)


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