南カリフォルニアの山火事は昔により頻繁になったのか? - fire ecology Part2 -
昨日は、「西海岸の森は、数十年に一回の山火事を前提に構成されていて、山火事を経ながら健康や均衡を保っている」ということを書きました。この、生態系と山火事の関係の総合的なパターン(火事のタイプや規模、頻度、森の焼失面積や焼失度合いなど)のことを、fire regimeと言います。
ところで、南カリフォルニアでは2003年にも未曾有の大きな山火事がありました。まだ記憶に新しいと思います。それに、2003年から今起こっている山火事の間にも、もっと小さな規模で毎年のように火事のニュースがありました。これって、山火事が以前より頻繁に、大規模になっているということなのでしょうか?それともまだ、今までどおりのfire regimeの範疇なのでしょうか?今後はどうなるのでしょうか?
諸説があります。「増えているし、ひどくもなっている。」「いや、今までと同じである。想定の範囲内。」科学者たちが、喧々諤々研究と論争を繰り広げているところです。ではまず、「火事が頻繁に、大規模になっているとすれば、それは何が原因なのか?」についてみてみましょう。これにも諸説があります。例えばfire suppression。Land use。それから地球温暖化。
まず、fire suppression(消火、防火活動、計画的な野焼き)が次の火事を大規模にする、という意見について。私はEcologyのクラスで山火事のことを知るまでは、「火事=ダメージ=一刻も早い消火が必要」と思い込んでいましたので、「消火が火事の原因になる」という可能性については考えてもみませんでした。
もちろん、「火事=ダメージ」という方程式は、人間社会にとっては100%Trueです。でも昨日書いたように、山には定期的な火事が必要。なんとニーズが完全に逆転しています。これが、「消火活動が次の火事のリスクを高めてしまう」、というねじれ現象をうみだしてしまうのです。
そもそも「森は火事を必要としている」ということは、150年ほど前、開拓時代にヨーロッパ人が西海岸にやってきたころには誰も知らなかったし、彼らは自分たちの身を守るために、切り開いた森から火事を減らさなければなりませんでした。一番手っ取り早く効率的だったのが、森をGrassland(草原)に変えて牧畜をすることでした。(単位面積当たりにあるfuel(燃えやすいもの)の量を考えたら、草原のほうが火事になりにくく、火事の規模も小さい、ということが想像できると思います)こうして、多くの森が草原になりました。そして森にはfuel (燃えやすいもの)が予定以上に残りました。
また、いったん起こった山火事に対しては、「消火活動」が行われるようになりました。消火活動は、「数十年に一回の山火事」が燃やそうとしていた範囲が全部燃やし尽くされる前に火を消し止めてしまうので、予定より多くのfuelが、次回の火事に繰り越されることになりました。
まとめると、消火・防火活動は、図らずも森の中にあるfuelの量を増やしてしまう。それが、次に起こる火事の規模をよりカタストロフィックにしてしまうという、ということになります。
ここまでだと、「じゃあ消火・防火はしちゃいけないのか?」と思われてしまいそうですが、そうではありません。
次に続きます。
Photo source: http://forestfire.nau.edu/grazing.htm
ところで、南カリフォルニアでは2003年にも未曾有の大きな山火事がありました。まだ記憶に新しいと思います。それに、2003年から今起こっている山火事の間にも、もっと小さな規模で毎年のように火事のニュースがありました。これって、山火事が以前より頻繁に、大規模になっているということなのでしょうか?それともまだ、今までどおりのfire regimeの範疇なのでしょうか?今後はどうなるのでしょうか?
諸説があります。「増えているし、ひどくもなっている。」「いや、今までと同じである。想定の範囲内。」科学者たちが、喧々諤々研究と論争を繰り広げているところです。ではまず、「火事が頻繁に、大規模になっているとすれば、それは何が原因なのか?」についてみてみましょう。これにも諸説があります。例えばfire suppression。Land use。それから地球温暖化。
まず、fire suppression(消火、防火活動、計画的な野焼き)が次の火事を大規模にする、という意見について。私はEcologyのクラスで山火事のことを知るまでは、「火事=ダメージ=一刻も早い消火が必要」と思い込んでいましたので、「消火が火事の原因になる」という可能性については考えてもみませんでした。
もちろん、「火事=ダメージ」という方程式は、人間社会にとっては100%Trueです。でも昨日書いたように、山には定期的な火事が必要。なんとニーズが完全に逆転しています。これが、「消火活動が次の火事のリスクを高めてしまう」、というねじれ現象をうみだしてしまうのです。

また、いったん起こった山火事に対しては、「消火活動」が行われるようになりました。消火活動は、「数十年に一回の山火事」が燃やそうとしていた範囲が全部燃やし尽くされる前に火を消し止めてしまうので、予定より多くのfuelが、次回の火事に繰り越されることになりました。
まとめると、消火・防火活動は、図らずも森の中にあるfuelの量を増やしてしまう。それが、次に起こる火事の規模をよりカタストロフィックにしてしまうという、ということになります。
ここまでだと、「じゃあ消火・防火はしちゃいけないのか?」と思われてしまいそうですが、そうではありません。
次に続きます。
Photo source: http://forestfire.nau.edu/grazing.htm
by kinky25
| 2007-10-27 14:08
| カンキョウの話。
筆者: 環境庁勤務・一児の母。 生息地: カリフォルニア・サクラメント。 ブログについて: サイエンスとトレンドを融合した、わかりやすいエコ・温暖化・サステナビリティ。コメント歓迎です(除く営業)
by kinky25
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